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【レポート】群馬交響楽団 上田定期演奏会-2024夏- 関連プログラム 「群響メンバーによる室内楽演奏会」

みる・きく
開催日
時間
19:00~
会場
サントミューゼ 小ホール

7月28日(日)に開催された「群馬交響楽団 上田定期演奏会-2024夏-」(指揮:飯森範親(群響常任指揮者)/ヴァイオリン:マルク・ブシュコフ)に先立ち、群響メンバーによる弦楽四重奏の演奏会が行われました。

ステージに登場したのはヴァイオリンの塩加井ななみさんと筒井志帆さん、チェロの坂菜々子さん、そして上田市出身のヴィオラ奏者、太田玲奈さんです。

最初に演奏したのはモーツァルトの「ディヴェルティメント K.138 第1楽章」。4人の音が心地よく重なり、心弾む音楽で魅了します。
挨拶した太田さん。「28日の定期演奏会では、3つのプログラムを演奏します。その一つがモーツァルトの『6つのドイツ舞曲 K.600』。群響の定期演奏会600回目を記念して加えています」と話しました。

定期演奏会で演奏されるもう一曲が、オーストリア出身の作曲家エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトによる『ヴァイオリン協奏曲 ニ⾧調 作品35』です。

「作曲したコルンゴルトはモーツァルトと同じヴォルフガングという名前をもらい、幼い頃から作曲を始めて、かのマーラーに天才だと評されたほど。28日に演奏するこの曲は、マーラーの妻であるアルマ・マーラーに献呈した曲なのだそうです。そこで今日は、そんなマーラーがアルマに愛を伝えるために作ったとされる曲を演奏したいと思います」(太田さん)

マーラー作曲『交響曲 第5番より アダージェット』を4人で演奏。悲しいほど美しいメロディーに魅了され、水面の波紋や闇夜のイメージが浮かびます。4つの音がグラデーションを描きながら、美しい和音を紡いでいました。

続いてコルンゴルトの『弦楽四重奏曲 第2番 作品26 第4楽章』のワルツを演奏。コルンゴルトはオーストリア出身ゆえウィンナーワルツの要素も入っているそう。さらに「色々なことが起こる忙しい曲です(笑)。彼はこんな曲も作るのかと感じながら聴いていただければ嬉しいです」と太田さん。

華やかで洒脱で、ワルツでありながらユニークなリズムを感じます。ピチカート(弦を指ではじいて音を出す演奏技法)の響き、テンポがめまぐるしいパートや不穏な音色、繊細で美しい音色、とさまざまな表情を見せ、まるで一本の映画を観ているかのようでした。

最後は、R.シュトラウスの曲。この日は『弦楽四重奏曲 イ長調 作品2』全4楽章を演奏しました。

「彼が16歳のときに作曲した作品で、とても純粋な曲だと感じます。けれど第3楽章は、まるで人生を悟ったかのような雰囲気。ぜひ楽しんでください」(太田さん)

グルーヴ感に心躍る第1楽章、春の空気のように軽やかな第2楽章。そして第3楽章は、別れを思わせる哀しく美しいメロディーにチェロの低音がしみじみと響きます。シュトラウスは何を思いこの曲を生み出したのか、思いを巡らせました。第4楽章は雨あがりの空を思わせる清々しい音色。演奏後の、4人の満ち足りた清々しい表情が印象的でした。

大きな拍手に応え、アンコールにモーツァルトの『ディヴェルティメント K. 138 第3楽章』を演奏してくれました。息を合わせ、笑顔を浮かべて楽しそうに演奏する4人。起伏あるメロディーで魅了し、来たる定期演奏会への期待を高めました。

〈プログラム〉

モーツァルト/ ディヴェルティメント K.138 第1楽章

マーラー/ アダージェット(交響曲 第5番より)

コルンゴルト/ 弦楽四重奏曲 第2番 作品26 第4楽章

R.シュトラウス/ 弦楽四重奏曲 イ長調 作品2

【アンコール】 モーツァルト/ ディヴェルティメント K. 138 第3楽章