サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館)

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【レポート】Co.山田うん ダンス・ワークショップ『開くココロ、踊るカラダ!』

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Co.山田うん ダンス・ワークショップ『開くココロ、踊るカラダ!』

開催日
時間
15:00~
会場
サントミューゼ 多目的ルーム

コンテンポラリーダンスのカンパニー「Co.山田うん」が、今年は新作公演で上田に帰ってきます。公演に先立ち、ダンス・ワークショップが開催されました。
カンパニー所属の須﨑汐理(しおり)さん、黒田勇さん、猪俣グレイ玲奈さん、佐々木章晃(しょうあ)さんの4名が講師を務めます。参加者は、未就学児から中高年まで幅広い世代の18名集まりました。
気分が上向くような音楽が流れる中、身体をじっくり目覚めさせていきます。全身をスキャンするように意識を向けてから、体に触れます。身体感覚にフォーカスし、しみついた癖をニュートラルに戻すのが目的のようです。

立ち上がって伸びる動作では、足の裏で地面をしっかり押すことを意識するように須﨑さんがガイドします。伸びる力と押す力の両方を意識するのは、ダンスならでは。腕をねじるストレッチは、左右で違う動きをする脳トレのようで、うまくできない参加者から思わず笑い声が上がる一幕もありました。20分以上かけたウォームアップのあとは、体が軽くしなやかに感じられ、立つと足で地面をしっかり捉えられる感覚がありました。

ここからは、空間をランダムに歩いていきます。前歩き、歩きながら腕を回す、ルルベ(かかとを上げる)して歩く……。「ルルベした背中の感覚をキープして」かかとを下ろして歩きます。難しい後ろ歩きでも参加者は上手にお互いを避けていました。今度は合図でピタッと止まり、そのままゆっくりしゃがみ、ゆっくり上がってきます。「ダンスはプリエ(膝を曲げる動作)や床を踏むというシーンがたくさんあって、ここまでの動きは堂々とした踊りにつながります」。
次は近くにいる人とペアを組み、体重を掛け合ったり、力を拮抗させて動いたりする練習です。「せーのっ」と声をかけあい、試行錯誤しながらお互いにいいポイントを探っていきます。うまくいけば思わず拍手が飛び出し、場はすっかり賑やかで和やかな雰囲気に。講師の「いいですね~」「素晴らしい!」という声に背中を押されます。

いよいよ振りに入ります。「カンパニーの2年前の作品『In C』という作品から抜粋した振りをやってみたいと思います。少し難しいところもありますが、完璧にやろうとせず、何となくでも踊れたら百点満点なので、楽しんでやっていきましょう!」。これまでやった、手をねじる、押す、床を踏む、ルルベするといった動きが入っている振りです。

「肘で大きな壁を押すように」「どすこい」「スパゲッティ~」「野球選手!」「水戸黄門の印籠」「たけのこ」といった具体的にイメージできる声かけに加えて、ポイントを伝えることで、参加者の動きがグッと良くなります。同じところを何度も繰り返し、汗だくになった参加者は、自分なりに振りを落とし込んでいこうとチャレンジしていました。「タイミングはあまり気にしないでください。それよりも、手の動きやねじり加減、意味合いを意識しながらやってみてください」。

「できた……!」とつぶやく人、できなくて苦笑する人、それぞれです。幼い女の子が、楽し気な声を上げながら駆け回っていて、心からこの場を楽しんでいるのが伝わってきます。
5グループに分かれて、今日のすべての動きから好きなものをピックアップして、一連の踊りとして組み立てていきます。ひとりひとりが動きを提案し、アレンジしながら即興的に繋いでいきます。

最後は、各グループがみんなの前で発表します。体験してきた動きは同じですが、どのグループもまったく違う個性的で面白いダンスができあがっていました。惜しみなく送られる拍手には、短いながら作品になったことに参加者が心動かされている様子が感じ取れます。幼い子どもから大人まで、唯一無二の多様な体を使った表現に、コンテンポラリーダンスの神髄を見る思いでした。

松本市から来たご家族3人は、お子さんが過去に山田うんさんの子ども向けワークショップに参加したそうです。「保育園でもダンスが好きで楽しそうだったので参加しました」とお母様。楽しそうに体を動かしていたお父様は「みなさんすごく上手でびっくりしました」と笑顔を見せてくれました。

取材:くりもときょうこ
撮影:金井真一