サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館)

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【レポート】Co.山田うん レジデントアーティスト事業 コンテンポラリーダンス アウトリーチ at 上田市立北小学校

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Co.山田うん コンテンポラリーダンス アウトリーチ at 上田市立北小学校

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ダンスカンパニー「Co.山田うん」のメンバーは、サントミューゼでのワークショップの翌日、上田市立北小学校でアウトリーチワークショップを行いました。
信州上田医療センターの近くに位置する北小学校。3クラスある3年生を2グループに分けて、午前と午後にワークショップが行われました。午前中の模様をレポートします。
先生とともに体育館に入ってきた3年生はニコニコ顔で、これからの時間を楽しみにしている様子が見て取れます。今日のワークショップは、ニックネーム“ハム”こと黒田勇さんをメイン講師に、須﨑汐理(しおり)さん、猪俣グレイ玲奈さん、佐々木章晃(しょうあ)さん、そして上田市在住でカンパニー特待生の丸山梨紗さんの5名で行われます。

「今日はリズムダンスをやります。ふだん僕たちがやっているコンテンポラリーダンスは自由なダンスで、何でもあり。ヒップホップやバレエの要素も入っています。今日は、ダンスの楽しさをみんなと共有できたらなと思います」と黒田さんが話します。
まずはメンバーの動きの真似をするところから。しゃがむ、腕を真上にあげる、ジャンプ、その場で駆け足、そのまま回る……。動いているうちに、子どもたちからクスクス、フフフと笑い声が上がって、気持ちが高揚しているのが伝わってきます。途中、足を振り上げる動きで上履きが宙を舞うアクシデントも。

ダンサーが鬼になった鬼ごっこでは、「キャー!」「ワー!」と嬉しそうな声が弾け、「全速力で逃げよう!」と黒田さんが発破をかけます。かと思うと、「その場で止まって! ここは速く動けない場所です」と呼びかけ、沼の中を歩くようにスローに。大股で歩く子には、「ナイスアイデア!」とメンバーから声がかかります。今度は、ゆっくり床に沈むように四つん這い。反転して仰向けになって腕と足で体を支えながら歩きます。床についている体の部分を4つから1つまで減らすと、3つでは両足とおでこ、4つではひざとつま先というような独創的なポーズも生まれていました。

立ち上がって、「体育館の床が傾いたら?」という遊びです。スライディングしたり、壁に激突したり、本当に床が傾いたように真に迫った“演技”も見られました。
一旦休憩に入りますが、側転やブリッジをする子もいて元気いっぱいです。
ここからは、体のいろんな部位を動かしてみます。「ダンスはどこを使う?」と黒田さんが聞くと、筋肉、内臓、脳みそ、全身、目、耳、頭、手と次々に声が上がります。お腹のダンスでは、「内臓がいろんなところに引っ張られたり、内臓が逃げようとしたりするイメージで」と黒田さんがアドバイスします。「全部使ってみたらどうかな?」と言うと、子どもたちはこれまでやった動きを取り入れて楽しそうに体をシェイクしていました。
真ん中にギューッと集まったおしくらまんじゅうから外へ出ていく遊びを経て子どもたちが体育館に広がると、空間の使い方がより大きくなっていました。近くの人と手を繋いで大きな円になってトンネルくぐりをして、手を離して黒田さんを起点としてポーズを真似していきます。真似るのは意外と難しくて、左右が逆になる人も。

今度は、円の真ん中までひとりで出てきて好きな食べ物を言います。すぐに言えない子には「がんばれ!」と声援が。円になることで、心の距離も縮まっていくようです。

再度の休憩を挟んで、いよいよ振りをやっていきます。一通り振りをやってみたら、スピーカーから流れる「手のひらを太陽に」の歌詞に出てくる動物や虫になりきって、自由に動き回ります。先生も一緒に踊っていました。

最後は自由に踊ります。ペアになって腕を持って相手を振り回すダイナミックな動きをする子も。ダンサーの動きに呼応して、さらに踊りが展開していきます。動きを真似たり、円になってみたり、自由な踊りがありました。

床に仰向けに寝て、クールダウンの時間です。「天井の向こうに空、空の向こうに宇宙があります。宇宙の星をつかむように手を伸ばして」。ゆっくり立ち上がって深呼吸します。

「ダンスは日常に転がっていて、しゃべるのも立つのも寝るのもダンスになります。こんなところにもダンスがあるんじゃない? と探してみてください」と黒田さんが締めくくります。
最後の集合写真撮影では、子どもたちも先生もダンサーもみんな、晴れやかな顔をしていました。

取材・文:くりもときょうこ
撮影:齊梧伸一郎