【記事】バレエ『くるみ割り人形』主演インタビュー
2024年11月27日(水)取材
2024年12月21日(土)に新国立劇場(東京)で初日を迎えた、バレエ『くるみ割り人形』。
1月12日(日)にサントミューゼで開催する上田公演でも主演を務めるおふたりに、公演への想いを伺いました。
インタビュイー
クララ/こんぺい糖の精 役:廣川みくりさん
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子 役:速水渉悟さん
Q:バレエを初めて観る方にとって、『くるみ割り人形』はいかがでしょうか?
速水渉悟さん(以下、速水):劇中、「行進曲」や「花のワルツ」など、皆さまがよく知っている曲がたくさん流れるので、楽しみやすいと思います。
廣川みくりさん(以下、廣川):公演時間も長くないですし、お子さまも観やすいのではないでしょうか。子どもが主役の場面も序盤にあり、子どもたちにも親しみをもってご覧いただけると思います。
Q.おふたりは昨年に続いて『くるみ割り人形』で主演のコンビを組みますが、2 回目となる今回、どのように演じようと思っていますか?
速水:去年より余裕も出てきて、 2人でよりブラッシュアップした『くるみ割り人形』をつくれると思います。上田公演は千秋楽なので、より良い舞台をお届けしたいです。
廣川:プレッシャーもありますけど、フレッシュさも持ちつつ頑張りたいなと思っています。
Q.本来なら、クララ/こんぺい糖の精 の2役と、ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子 の3役を、それぞれ別々の方が演じますが、新国立劇場の”イーグリング版”では、主演のおふたりが2役、3役演じます。大変ではないですか?
速水:私もみくりさんも、他のバージョンの主役を演じていないので比べにくいですが、確かにハードではあります。
廣川:私は、入団して最初に出演した『くるみ割り人形』がこのイーグリング版でした。それぞれの役を別々のダンサーが踊るバージョンだと、こんぺい糖の精役、王子役の人たちは 第2幕のグラン・パ・ド・ドゥから登場するので、緊張しそうだな、と思います(笑)。そう考えたら、イーグリング版では、物語に入り込んだまま2幕へ繋げていくことができます。
速水:お客さまも、ひとりが複数の主要キャラクターを兼ねて演じている方が、頭の中で繋がりやすく、観やすいっていうメリットもあるのかなと思います。演じる方としては、ハードですけどね(笑)
Q.『くるみ割り人形』で、好きなシーンはありますか?
速水:チャイコフスキーの『くるみ割り人形』では、音楽が素敵なシーンが多いんです。雪のシーンもすごく綺麗な曲ですし、グラン・パ・ド・ドゥの「アダージョ」も、強弱があって素敵だなぁと思いながら踊っています。
廣川:もともとチャイコフスキーの音楽はどの演目もすごく好きなんですけど、去年、渉悟さんがリハーサル中に「『アダージョ』が良い曲だよね」と話していて。それで意識してよく聴くようにしたら、やっぱり良い曲だなって改めて思いました。情緒溢れるメロディで、クライマックスにかけて盛り上がるので、“主役の音楽“という感じがして、すごく素敵ですね。
Q.ふたりで息を合わせて踊るにために、練習中に意識していることはありますか?
速水:バレエは言葉のない世界ではありますが、リハーサル中はコミュニケーションを大事にしています。お互いに話し合って「ここはこうだよね」とか「もうちょっとやりやすい方法はないかな?」とか、訊きながらやったり。基本的に二人とも、音楽をしっかり聴きながら踊ることを意識しています。
廣川:同世代ということもあり、お互い話しやすいです。その場で感じたことや、こうしてほしいという意見を渉悟さんも言ってくれるので、コミュニケーションを取りながら練習できているかなと思います。
Q.上田公演では、第1幕『雪の結晶』の場面(第9曲)で上田市立清明小学校合唱部の皆さんが歌いますが、それについてはいかがですか?
速水:合唱を邪魔しないようにしたいです(笑)
廣川:私は小学生のとき合唱団に入っていたので、こういう風に地元の子と共演できるのは感慨深いし、嬉しいです。緊張する気持ちもすごくわかるので、私自身も頑張らないといけないけど、応援したくなります。『雪の結晶』のダンサーたちも、地元の子と一緒に舞台に立てると聞いたらすごく喜ぶと思います。
Q.最後に、上田公演にいらっしゃるお客様へのメッセージをいただけますか。
速水:鑑賞中は、魔法のような舞台、非日常の世界を楽しんでいただければなと思います。
廣川:皆さまにクララの夢の世界を思う存分楽しんでいただき、終演後も幸せな気持ちになっていただければと思います。