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【レポート】礒絵里子 アウトリーチatさくら国際高校

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サントミューゼ

礒絵里子 ミニコンサート at さくら国際高等学校
10月26日(木)さくら国際高等学校

 

ソロ活動を始め世界各国のオーケストラとの共演や室内楽への参加、ラジオパーソナリティーやテレビ出演など多彩な活躍を見せるヴァオリニスト・礒絵里子さん。

2017年度のレジデントアーティストとして、上田市の「神科・豊殿地域」と「塩田地域」で滞在型の活動を行っています。
この日は、ピアニストの中川賢一さんとともに塩田地区の「さくら国際高等学校」でミニコンサートを行いました。

 

 

 

司会進行とチケットもぎり担当は、音楽の授業を選択している生徒たち。

チケットやプログラムも生徒たちの手作りです。

 

 

「本格的なプログラムを作ってくださって、とても嬉しいです」
と礒さんは笑顔であいさつ。

 

 

秋晴れの空に似合うエルガー作曲「愛のあいさつ」で幕を開けたコンサート。

最初に、ヴァイオリンの成り立ちや音の出し方を礒さんが分かりやすく解説してくれました。
「ピアノと違うのは、自分で音を作らなければならないこと。

ギターのように弦を押さえる位置の目印がないので、ドレミファソラシドを弾けるようになるまでに何ヶ月もかかります」

 

手の位置を1mmでも動かすと音が変わるヴァイオリンは、非常に多くの音色を出すことができます。

たとえばピアノは、ドとレの間に「ド#」の一音しかありませんが、ヴァイオリンは「数え切れないほどの音があります」と礒さん。

実際に小刻みに弓を動かしてドとレの間の無数の音を弾いて見せると、生徒たちからは驚きのどよめきが。

 

 

その音色の多さを存分に楽しませてくれた曲が、リムスキー=コルサコフ作曲「熊蜂の飛行」。

微細に音程を変えながらうなる音色は、本物の蜂の羽音のようです。

時に弦を指で弾きながらの演奏に、生徒たちもじっと目と耳を傾けていました。

 

 

続いてのディニク作曲「ひばり」も、鳥のようにキュルキュルと鳴く高音がヴァイオリンならではの楽しい曲。

アップテンポのピアノとの掛け合いで大いに盛り上がり、会場の温度も上がっていきます。

 

 

ここで、中川さんのピアノソロによるドビュッシー作曲「月の光」へ。

湖面に映る月を描いた曲との逸話がありますが、歌詞がないため想像の域を超えないのだそう。
「音からいろいろな想像を楽しむのが音楽の楽しさです。目を閉じて、自分の世界に浸って聴いてみてください」
さまざまな景色や色、光や風をイメージさせる幻想的な旋律。

 

 

音がやんだ後の余韻まで味わい深く、演奏後ひと呼吸おいてから大きな拍手が起きました。

 

 

再び礒さんが登場し、2曲を披露。

さらに11月18日のリサイタルで演奏するブラームス作曲「ヴァイオリン・ソナタ」から第3番を演奏しました。
「4楽章で構成されていますが、一つの大きなテーマでつながっている印象。

長編小説を読み終えた後のような、ずっしりした感触が残ります」
と始まった全4楽章は異なる空気を感じさせながら、聴き終えると確かに一つの物語を読み終えたよう。

生徒たちの表情にも充足感が漂っていました。

 

 

 

終演後はお二人に花束が贈られ、さらに生徒たちが収穫したというスグリのジャムのプレゼントも。

代表の生徒からは、
「初めて生でヴァイオリン演奏を聴き、こんなにも音の強弱がつくんだと感動しました」
「表情豊かな素晴らしい音色で驚きました」
と感想が贈られました。

 

 

アンコールは、モンティ作曲「チャールダーシュ」。

ステージを降りた礒さん、客席の間を歩きながら演奏します。

 

 

間近で見ると弦を弓で振動させて音が生まれる様子がよく分かり、生徒たちは楽しそうに姿を目で追っていました。

時には一人の生徒にぐっと近寄って演奏し、客席に笑いが起きる場面も。

 

 

幅広い楽曲を通してヴァイオリンの特徴を知り、さらに音から想像をめぐらせる楽しさを知った今日のコンサート。

生徒たちにとって、音楽が一歩身近なものになったのではないでしょうか。

 

 

来る11月18日(土)の礒さんのリサイタルでは、この日演奏したブラームスの「ヴァイオリン・ソナタ」が全曲演奏されます。

 

重厚かつ繊細なブラームスの世界をぜひ堪能してください。