【レポート】群馬交響楽団上田公演
- 会場
- サントミューゼ
2016年4月17日(日)
サントミューゼ 大ホール
群馬交響楽団 上田公演
長野県のお隣、群馬県高崎市にある「群馬交響楽団」は、1945年の戦後に文化で復興を目指そうと「高崎市民オーケストラ」として創設されたのがはじまりです。2013年からは音楽監督に大友直人さんを迎え、さまざまなプログラムで幅広い活動を行っています。
この日は、大友さん自身が深い思い入れがある渡辺浦人作曲交響組曲「野人」ほか、
誰もが知っているクラシックの名曲だけではない、オーケストラの魅力をさらに広げるプログラム構成となりました。
集い、祭り、踊りの3つの楽章からなる交響組曲「野人」は、クラシックでありながら民謡や童謡、そして時には祭りのお囃子など、日本人になじみのある音色が響きます。
ドラマチックに展開する音楽の流れはまるで歌謡曲のようでもあり、聴くものに日本の古き良き故郷や、そういったものへの郷愁を感じることができました。
続いて披露されたドヴォルザーク作曲チェロ協奏曲ロ短調 作品104(B.191)では、
若手チェリストの中でも高い評価を得ている宮田大さんが登場。
目を閉じ、オーケストラの音色に集中する姿はまるで武士のような凛々しさ。
一度演奏が始まれば、まるでチェロと踊っているような優雅な動きで、ふくよかな領域の音色を情感たっぷりに、そして力強く奏でます。
オーケストラ、ソロそれぞれの個性が気持ちよく折り重なるように進むメロディー、
チェロとフルートの美しい絡み合い、最後にオーケストラのみで曲を閉じるところまで、曲の世界に終始引き込まれます。
演奏が終わった後も宮田さんへの賛辞の拍手は鳴り止むことはありません。
それに応えるために、バッハ作曲「無伴奏チェロ組曲第1番」を演奏。
オーケストラの時とはまた異なる、チェロの音色に浸ることができました。
休憩をはさんで後半は、「火の鳥」や「春の祭典」で知られるストラヴィンスキーから、
バレエ組曲「ペトルーシュカ」(1947年版)へ。
もとはロシア・バレエ団の依頼で作られた曲です。当日配布のプログラムノートには、
「1830年ころのサンクトペテルブルグ。謝肉祭の日に、人形ペトルーシュカが人間の踊り子に横恋慕し、恋敵のムーア人に殺される」というストーリーとあります。
舞台を知る人もそうでない人も、次々と展開されていく曲にさまざまなイメージを膨らませられる作品です。
ピアニスト長尾洋史さんの演奏が主となる場面をはじめ、打楽器、管楽器などが活躍し、ペトルーシュカの抱く感情がどんどん展開されます。
演奏終了後、会場はしばらくペトリューシカの世界に引き込まれていました。
大きな拍手は、公演の終わりを名残惜しむように続いていました。