踊りのための音楽、舞曲

今回テーマの一つとなったのは舞曲。
「舞曲として有名なのはスペインのフラメンコに代表される非常に情熱的な踊りと三拍子」、と説明する神谷さん。
望月さんがフラメンコでよく使われる、カスタネットを取り出します。
「日本人にとっては難しく感じる」という三拍子に合わせて二人で軽快なカスタネットの拍子を打ち鳴らします。

そして「一定の三拍子を意識しながら聴いてください」、と早速スペインの作曲家ファリャによる『スペイン舞曲』を演奏されました。
三拍子を意識することによってスペインの舞曲をリズムから感じ取ることができた参加者の皆さん。目を閉じたり体を揺らしたり、
それぞれイメージを膨らませながら演奏を鑑賞されたようです。

ピアノの鍵盤を叩くと、内部機構のハンマーと呼ばれる、羊の毛を固めたフェルトが弦を叩き、音が出ます。
全部で3頭分もの羊毛が押し固められているということで、
神谷さんから手渡された実際のハンマーを手に取った男の子や「力の強そうな」とご指名を受けた男性も
『硬い』と手の力ではつぶれないことを確認していました。

次に望月さんによる、ピアノの構造についての説明が始まりました。
ピアノの正式な楽器種類は「有鍵打弦楽器(ゆうけんだげんがっき)」といいます。

「鍵盤」を押し、ハンマーが「弦」を「打つ」ことからというそうで、参加者の皆さんも一緒に声に出して読んでみました。

また、ピアノの重要な部品のひとつ、響板(きょうばん)の解説では、望月さんが手に持ってかすかに響く程度だった小さなオルゴールの音が、響板の上に置いたとたんに劇的に大きくなる演出に、参加者の皆さんから思わずワァーという驚きと歓声と拍手が上がりました。

フランス音楽の作られ方

この日のもうひとつのテーマとして取り上げられたフランス。
フランスの音楽を作るのに欠かせないのは、雰囲気、音色という望月さん。
『ふわっとした、つかみどころのない音』を作るために苦労したエピソードを披露。
たとえば「スカーフに触れるようにピアノを弾くように！」とか、香水を部屋中にばら撒き、「こういう風に弾いて！」とか、
当時の先生から難しい注文を受けたといった、音色の表現の仕方に苦労した当時のことをお話してくれました。

最後は神谷さんも望月さんも大好き、というグラッペリのレ・ヴァルスーズという曲を演奏。大きな拍手とともに45分間のアナリーゼワークショップは終了しました。

いつものコンサートの客席とは異なって、舞台上にイスを配置してのワークショップということもあったので、
神谷さん、望月さんと非常に近い距離でお話や演奏を楽しんでいただけたと思います。
音楽の作られた国の風土や、楽器の構造、音色の作り方など事前に知ってから、楽曲を聴くと、また違った楽しさや発見があるかもしれません。

今後もサントミューゼのアナリーゼワークショップにご期待ください。