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【レポート】マチ×マチフェスティバル2017

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サントミューゼ

マチ×マチフェスティバル2017

2017年11月3日(金・祝)4日(土)5日(日)

会場:サントミューゼ、市内各所

 

平成29年11月3日~5日に開催された「マチ×マチ フェスティバル2017 UEDA」。

「マチがアートを待っている、マチにアートが出かけていく」をテーマに、上田市の海野町商店街を中心に、音楽や美術が街を彩りました。
今回はその中から注目のイベントをレポートします。

 

 

■マチ×マチ フェスティバル  ガラスアートプロジェクト

11月3日(金・祝) 10:00~12:00  会場:サントミューゼ

 

爽やかな秋晴れの中、フェスティバルのはじまりを飾るのは、ガラスアートプロジェクト。

サントミューゼのプロムナードにある大きな窓ガラスに、楽しく絵を描く体験です。

ご家族やお友達と参加される方が多く、子どもたちの元気なあいさつと共にスタートしました。

今回のテーマは「パレード」。

 

街をアートが彩る『マチ×マチ フェスティバル』にふさわしく、街を盛り上げるようなアートペイントを目指します。

使用するのは「青・黄・白」の水彩絵の具。

発色のいい鮮やかな3色を使って、それぞれがイメージするパレードを窓いっぱいに描いていきました。

 

 

最初は恐る恐る描いていた子どもたちも、慣れてくると手のひらに絵の具をつけてペタペタしたり、大胆な筆づかいでのびのび描いていたのが印象的でした。

色で塗り分けてみたり、色を混ぜ合わせて塗ってみたり、自由な発想で生み出されていくパレード。

 

 

ガラスの向こう側に見える景色と相まって、素敵なガラスアートが完成しました。

 

 

■「和菓子の木型でアート」展 各日 

10:00~17:00 会場:HanaLab.UNNO

■ワークショップ「和菓子の木型でアートな体験」

3日(金・祝)~5日(日)各日13:30~ および、4日(土)15:00~

会場:HanaLab.UNNO

 

フェスティバルの期間中、海野町商店街のHanaLab.UNNOで開催した『和菓子の木型でアート展』。

和菓子の「落雁」や「練り切り」などの製造に使われる木型をアートと捉え、その美しく精緻な造形を紹介する展示を行いました。

会場に所狭しと並べられたのは、上田地域の菓子店に代々受け継がれている菓子木型。

 

 

その一部は現在も和菓子の製造に使われています。

図柄は鯛・鶴・亀・松竹梅といった縁起物をはじめ、仏事に関連する蓮の花などをモチーフにしたものや、季節を感じさせるものなど多彩。

 

 

その一つひとつが職人の手によって生み出されることに、高い芸術性を感じずにはいられません。

会場では、今や全国に数人しかいない菓子木型職人の一人である鈴木重幸さんの、菓子木型づくりの工程を紹介するムービーも上映。

来場者は興味深い眼差しで菓子木型を見入っていました。

期間中に4回行ったワークショップでは、原町で「御菓子処千野」を営む千野雅芳さんをお招きして、現在も使用されている木型を使った落雁づくりを体験しました。

 

 

上白糖に少量の水、そして寒梅味甚粉を加えてよく混ぜ合わせた材料を、すき間ができないように木型に詰めて作る落雁。

木型から落雁を抜く際に木型の縁をヘラで打つことから、落雁を製造することを「落雁を打つ」と表現するのだそうです。

参加者は順番に落雁を打つ工程を体験。

 

木型から綺麗に落雁が抜けると、拍手と歓声が上がりました。

通常はこの後に蒸気をあてて固める落雁ですが、今回はできたてのしっとりとした味わいを楽しみます。

 

 

ワークショップの最後には、海野町の「喜光堂」から丸山次朗さんをお招きして、抹茶のたて方をレクチャーしてもらい、それぞれがたてた抹茶と一緒に落雁をいただきました。

日本文化により深く触れる良い機会となったワークショップでした。

 

 

■オープニングパレード&BLACK BOTTOM BRASS BAND
3日(金・祝)15:30~16:15
会場:上田城跡公園特設ステージ
上田城紅葉まつり期間中、上田城跡公園の一角に特設ステージが設けられました。

フェス初日に開催されたオープニングパレードは、1993年に結成したニューオリンズスタイルのブラスバンド・BLACK BOTTOM BRASS BAND(以下BBBB)が登場。

午前中に彼らのワークショップに参加した市民とともに東虎口櫓門から「聖者の行進」の演奏をスタート。

 

 

そこから出店ブースのほうまでぐるっとまわってからステージへ。

「自由を感じるような音楽を届けます」とYASSYさんが挨拶。

その後は定番の「ワッショイブギ」へつづきました。

 

 

澄み切った空を見上げながら、観客全員と神輿を担ぐように手のひらで空を押し上げるようにしながらみんなで「ワッショイ♪」とかけ声をしたり、新しいアルバムの中からYUTAさんが作詞した「DARUMA」では、曲にまつわる健康エピソードに笑いが湧き起こるなど、彼らのライブパフォーマンスと話術に終始盛り上がっていました。

 

 

このライブを目的に来たファン以外にも、偶然この場に居合わせた人たちも思わず足を止めて音楽をともに楽しんでいる様子が印象的なライブでした。
■礒絵里子×中川賢一
3日(金・祝) 17:00~18:00
会場:犀の角

 

12日間上田市に滞在しながらアウトリーチや公民館コンサートの活動をしていたヴァイオリニストの礒絵里子さんとピアニストの中川賢一さん。

この日が滞在中で最後のミニコンサートとなりました。

 


1曲目に選んだブラームス作曲の「スケルツォ」は、彼が20歳ごろに友人の作曲家であるシューマンとディートリヒの3人で作曲したヴァイオリンソナタで、第3楽章をブラームスが作りました。
「今回のプログラムでは最初と最後をブラームスのソナタにしました。

1曲目は20代、最後に作ったソナタは40代ですが、その変化を感じてください」と礒さん。

その後はクライスラーの作品が2曲つづいて、中川さんのピアノソロへ。

「もしよろしければ目を閉じながら、自由にお聴きください」と観客に促してからドビュッシーの「月の光」を演奏しました。
再び礒さんが登場してからは生き物がらみの曲から「熊蜂の飛行」と「ひばり」の小品2曲を演奏。

 

「Youtubeで検索して音を研究しました」という蜂の羽音やひばりのさえずりをイメージしたヴァイオリンの音色は、目を閉じると本物のよう。

 

 

そして最後に演奏したブラームスの「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第3番 ニ短調 作品108」は、「晩秋に似合う曲です」という礒さん。

アンコールにはモンティ作曲の「チャルダーシュ」を演奏。情熱的な2人の演奏に最後まで惹き込まれました。

 

 

■鍵盤ハーモニカパレードfeat.BBBB

4日(土)11:30~12:15

会場:上田城跡公園特設ステージ

 

プログラム 1.グリーングリーン 2.オブラディオブラダ 3.ラヴェル:ボレロ 4.聖者の行進

 

ピアノ・鍵盤ハーモニカ奏者の志村和音さんと公募で集まった市民が、上田城跡公園の中を演奏しながら行う鍵盤ハーモニカパレード。

2日目のメインイベントだったのですが、前日の清々しい秋晴れとは打って変わって、あいにくの雨。

天候と安全面を考慮して、内容を変更してお送りしました。

まずは特設ステージでの演奏を披露。

 

 

児童合唱曲として広く知られる「グリーングリーン」からスタートしました。

小雨の降る中、明るいハーモニカの音色が響きわたります。

2曲目はビートルズの「オブラディオブラダ」。

次第に会場からはあたたかい手拍子も起こり、悪天候を吹き飛ばすかのような演奏が繰り広げられます。

3曲目はラヴェル作曲のクラシック「ボレロ」。

通常、演奏時間が18分の楽曲を短めにアレンジして演奏しました。

最後は、BBBBのメンバーと一緒に「聖者の行進」でフィナーレ。

会場からは大きな拍手が送られました。

 

 

 

 

気づけば雨も上がり、ステージ演奏後にはルートを短縮しながらもパレードが実現。

軽快なリズムとメロディーが会場に花を添えました。

 

 

 

■白石才三(g)+Zak Croxall(b)+沼澤尚(ds)SESSION

11月4日(土) 19:30~20:30 会場:犀の角

 

2日目の最後を飾るのは、白石才三さん、ザック・クロクサルさん、沼澤尚さんによるステージ。

 

 

日本を股に掛けて活躍するギタリストの白石さんに、多くのミュージシャンから絶大な信頼を獲得するアメリカ出身のベーシストのザックさん、そして日本を代表するトップドラマーである沼澤さん。

 

この錚々たる顔ぶれでお届けするスペシャルセッションに、会場で用意した席に座れ切れないほどの観客が集まりました。

 

 

セッションが始まると会場の雰囲気は一変。

観客を圧倒するサウンドが響き渡ります。

さまざまなアプローチから生み出されるグルーヴが、すべての観客を魅了しました。
■BLACK BOTTOM BRASS BAND Live
5日(日)13:30~14:30
会場:サントミューゼ 小ホール
この日の小ホールでは、初日のオープニングパレード&LIVEを務めたBLACK BOTTOM BRASS BAND(以下BBBB)の単独ライブが開かれました。
ライブが始まり、ステージに照明があてられて音楽が流れ出すものの、メンバーは誰もいません。

すると、ホールの後ろから観客席脇の通路を通りながら「聖者の行進」の演奏。

観客も間近でブラスバンドの生演奏が聴けるとあって1曲目から盛り上がり、みんなで手拍子をしていきました。

 

 

曲が終わってトロンボーンを担当するYASSYさんから

「サントミューゼは、綾戸知恵さんと1月に大ホールでライブをして以来です。

今日はマチマチフェスティバルの最終日、新曲もたくさんやります!」

と、IGGYさんのフルートがエッセンスとなって心地よい「君とアカプルコ」、BBBBのメンバーと観客のわっしょいの掛け合いが盛り上がる「ワッショイブギ」と続いて小ホールも熱気に満ちてきました。

 

 

「初日には上田城の特設ステージでライブしたんですけど、甲冑を着た真田幸村がいてみんな写真を撮っていたんですよ。

だから来年はね、みんなで甲冑を着てパレードしたいですね!」

とトランペットのYUTAさんが話すと客席から拍手が!

ほかにもサックスのMONKYさんは息子が虫好きで、いなごの佃煮を買ってみたというエピソードも披露。

3日間の滞在で上田市を存分に楽しんでいる様子が伺えました。

 

 

後半ではBBBBが初めて作ったオリジナル曲「ストロベリー・ダンサー」を演奏したり、初日のパレードに参加した一般市民をステージに呼んで「聖者の行進」をみんなで演奏して終了。

リズミカルなブラスバンドの音色に、終始気持ちが弾んでいるような楽しいライブでした。