【レポート】神谷未穂 ヴァイオリン・コンサート
- 会場
- サントミューゼ
ワンコインマチネ vol.4
神谷 未穂 バイオリンコンサート
(ピアノ:望月優芽子)
バイオリニストで、仙台フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターの神谷未穂さんのコンサートでは、平日にも関わらずほぼ満席の中、開かれました。なかには着物で見えた女性もいて、500円という気軽に参加できるコンサートながら、特別な時間を楽しもうというワクワクとした気持ちを感じ取れました。
この日はピアニストの望月優芽子さんも出演。2014年から神谷さんとともに活動を始め、サントミューゼでの公演は2度目。それもあって2人のファンがたくさん訪れました。この日はエスニック調のドレスを身にまとって登場。会場からは神谷さんに熱く盛大な拍手が送られます。
凛とした表情と立ち姿で、プログラムで一番長いストラヴィンスキー作曲の「イタリア組曲」を演奏し始めました。ふくよかで厚みのあるバイオリンと、それに追随するようなピアノ。それぞれが伴奏とソロの役割を持ちながら演奏。
2曲目は、神谷さん自身が大好きだと語るモーツァルトの「ハフナーセレナーデより“ロンド”」を演奏。トルコ行進曲のようなテンポの良いリズムに多くのお客様が体全体で音楽を楽しんでいました。3曲目は望月優芽子さんがドビュッシーの「月の光」を独奏。名曲がゆえに演奏回数の多い「月の光」も、望月さんらしい、柔らかで澄みきった、風のない美しい夜に佇む月の情景がイメージできるようでした。
最後はラヴェルの「ツィガーヌ」を演奏。プロでも演奏するのが難しいといわれるラヴェルゆえ、演奏者の力量が見える1曲だとか。演奏の間では、通常であれば弦を弓で弾くところ、ピッツィカートと呼ばれる弦を指ではじいて音を出す奏法を用いています。さまざまな音色が重なり合い、情熱的で力強い作品でした。
仙台を拠点に活動している神谷さんは、公演中にある想いを話してくれました。
「震災以降50日間、バイオリンを触ることが出来ませんでした。代々引き継いできたこの音色を壊す訳にはいかないと感じました。私たちは音楽による復興を目指しています。皆さんが会場に来てくださることが大きな力になります」
その言葉に応えるようにあたたかな拍手が広がりました。
鳴り止まない拍手が続きアンコールへ。
12月の雰囲気にぴったりな「ホワイトクリスマス」が演奏されたのち、
震災後に初めてバイオリンに触れた時に弾いた「ひばり」へと続きます。演奏している姿はまるで、バイオリンと身体がひとつの楽器のよう。コンサートでは、バイオリンに向き合うまっすぐな姿勢と人柄が感じられた時間でした。