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【レポート】名古屋フィルハーモニー交響楽団 名曲コンサート

みる・きく
会場
サントミューゼ

名古屋フィルハーモニー交響楽団 名曲コンサート

2017年3月26日(日)15:00開演 at大ホール
“名フィル”の愛称で知られる名古屋フィルハーモニー交響楽団。

この日は「名曲」をテーマにワーグナー、バルトーク、チャイコフスキーの曲が演奏されました。
1曲目は県内の中・高校生がともに演奏する企画「サイド・バイ・サイド」。

管楽器の学生は赤や白のスーツに身を包み、弦楽器は白のブラウスに黒のロングスカートで登場し、上田高校2年生の岩下日菜子さんがコンサートマスターを務めました。

 

学生たちは少し緊張した面持ちでしたが、指揮者の飯守泰次郎さんの登壇とともに表情がきりっと変化し、ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲を演奏。

この企画では2月6日に学生たちが初めて飯守さんや楽団員と会い、音合わせをするところからスタートしました。

 

その時の学生たちは指揮者を見るよりも譜面を追うので精いっぱいな様子でしたが、周囲の音にも気を配ることの大切さや、音のイメージ、出だしの1音など細かな指示を受けました。

がんばった練習の成果は歴然と表れ、楽器を奏でる姿に堂々たるものが感じられました。

 

 

つづいて登場したのはピアニストの金子三勇士さん。

演奏するのはバルトークのピアノ協奏曲第3番です。

国内では滅多にオーケストラで演奏される機会がないことから、この日のプログラムを楽しみに遠方から訪れた人もいました。

「余命1週間と宣告された中で書かれた第3番はピアニストの妻のために書かれたもので、ハンガリー生まれでハンガリー育ちのバルトークが当時20世紀のアメリカで見た、いろんな感情が入っていて非常にカラフルな曲です」

と金子さんがインタビューで語ったとおり、難しいと言われがちな彼の曲の中でもさまざまなイメージを浮かべられる聴きやすさが感じられます。

 

 

ラストはまるで花火のスターマインが打ち上げられるがごとく華やかな印象で、死を間近にした彼のほとばしる生命の煌めきを見せられたようで心をぐっと掴まれたような気持ちに。

演奏が終わった瞬間に何人もの観客から「ブラボー!」の声援と割れんばかりの拍手に包まれました。

 

 

後半では1888年にチャイコフスキーが作曲した交響曲第5番ホ短調作品64が演奏されました。

重々しく陰鬱な旋律から章を追うにつれて雄大な音楽へと繰り広げられ、クライマックスを迎えるころにはオーケストラならではの迫力が感じられました。

アンコールでは同じくチャイコフスキーの楽劇『エフゲニー・オネーギン』より「ポロネーズ」を披露。

あらためて「名曲」ならではの音楽の魅力を存分に吸収したコンサートでした。

 

 

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プログラム>
ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕前奏曲
バルトーク:ピアノ協奏曲第3番
第1楽章 アレグレット
第2楽章 アダージョ・レリジオーソ
第3楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
―休憩―
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64
第1楽章 アンダンテーアレグロ・コン・アニマ
第2楽章 アンダンテ・カンタービレ、コン・アルクーナ・リチェンツァ
第3楽章 ワルツ:アレグロ・モデラート
第4楽章 フィナーレ:アンダンテ・マエストーゾーアレグロ・ヴィヴァーチェ
―アンコール―
チャイコフスキー:楽劇『エフゲニー・オネーギン』より「ポロネーズ」