【レポート】NHK交響楽団上田公演
- 会場
- サントミューゼ
NHK交響楽団 上田公演
2017年6月17日(土)at 大ホール
サントミューゼでの公演が2014年以来ほぼ3年ぶりとなる、
日本を代表するオーケストラ、NHK交響楽団の演奏会が開催されました。
今回のプログラムはオール・モーツァルトプログラムということで
聖人といわれたモーツァルトの魅力がたっぷりと詰まった公演になりました。
指揮には、 深い音楽理解が定評のトン・コープマン氏ということもあり
壇上にトン・コープマンが現れると大きな拍手が送られました。
また、本公演では現在NHK交響楽団のゲスト・コンサートマスターとして
世界最高峰といわれるウィーンフィルハーモニー管弦楽団の
コンサートマスターを務めたライナー・キュッヒル氏が登場したことで
それを知らずに来場したお客様からのどよめきが起こりました。
一曲目の小曲は、モーツァルト作曲の、歌劇「魔笛」序曲です。
音楽の教科書などでも触れる機会のあるモーツァルトの代表的な曲の一つです。
冒頭のトゥッティの和音は目が覚めるような輝きがあり、
NHK交響楽団のレベルの高さを感じさせます。
軽やかなフルートとオーボエのユニゾンに乗せて
弦楽が盛りあがりの満ち引きを作り出す、まさに名曲と呼ぶにふさわしい作品でした。
二曲目の中プロとして、同じくモーツァルト作曲の、
フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299が演奏されました。
この珍しいソロの組み合わせは、モーツァルトが家庭教師をしていた娘の
結婚式で父と娘が一緒に演奏できる曲という依頼の元書かれた曲ということもあり、
終始華やかなメロディが流れ、心地の良い名曲です。
フルートのソリストとしてカール・ハインツ・シュッツ氏、ハープのソリストとしてシャルロッテ・ヴァルツェライト氏の二名が壇上へ。
どちらもウィーンフィルの首席奏者ということもあり、
とても贅沢な舞台上での演奏となりました。
この曲は特に、ハープの名曲ということでも有名であり、
途中難しいパッセージをいかに弾きこなすか、ハープの技量を問われる曲として
多く取り上げられる曲です。
今回のシャルロッテ・ヴァルツェライト氏はそんな難しいといわれるパッセージさへ
優雅でオーケストラのメロディーと溶け合うハーモニーとして奏でていました。
プログラム最後は、モーツァルトの非常に人気のある交響曲、
交響曲 第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」です。
トンコープマン氏が軽やかに、踊るような指揮に合わせて
オーケストラが緩急のついた演奏を、川の流れのように生み出していく心地よさ。
思わずうっとりするような旋律に、モーツァルトの音楽性の高さを再認識させられます。
合われんばかりの拍手に続けて、
アンコールはモーツァルトの中でも非常に人気の高い
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」第1楽章
思わず客席からは喜びの声が上がります。
巨匠という名を冠したトンコープマン氏ですが、
茶目気のある笑顔と、踊りのようなタクトさばきにファンになった方も多いはず。
終演後も拍手は鳴りやまず、来場者からの高い満足度が感じられる公演になりました。