【レポート】QuatuorB サクソフォーン リサイタル
- 会場
- サントミューゼ
QuatuorB サクソフォーン リサイタル
2018年1月20日(土)午後2時開演 at 小ホール
開演前、Quatuor Bのバリトン・サクソフォーン担当の小山弦太郎さんが登場し、観客に来場のお礼と今日のコンサートについて話し始めました。
「私は小諸市出身で上田も故郷といえますが、僕が小さいころはサントミューゼのようなホールが無かったので、このような形で携われてとても光栄です。
Quatuor Bは音楽を通じた交流をしています。
今日の前半は、サクソフォーン四重奏のために書かれたオリジナル作品を3つ演奏します。
後半ではそれ以外の楽器のために書かれた作品で構成しています。
最後まで集中してお楽しみください」と小山さん。
前説を終えると、えんじ色のタキシードに身を包んだソプラノ・サクソフォーンの國末貞仁さん、アルト・サクソフォーンの山浦雅也さん、テナー・サクソフォーンの有村純親さん、バリトン・サクソフォーンの小山弦太郎さんが多くの拍手に迎えられながら登場。
1曲目はサンジュレの作品『サクソフォーン四重奏曲第1番 作品53』を演奏。
この曲はサクソフォーンが誕生して間もないころに書かれた、世界最古のサクソフォーン四重奏曲です。
「サクソフォーンのためというよりは弦楽器を彷彿させるスタイルで書かれていて、とてもロマンチックな印象を受ける作品」と小山さん。
2曲目の『グラーヴェとプレスト』は、中高生のアンサンブルコンサート等でよく演奏されるメジャーな作品です。
弦楽器のような音色が出るサクソフォーンの豊かな響きと、流れるように軽やかで優雅なテンポに四重奏の音の深みを感じる1曲でした。
3曲目は2017年11月に完成したばかりの作品で、新垣隆さん作曲『バラード サクソフォンカルテットのための』です。
もともと小山さんが桐朋学園大学に通っていた当時、大学の先生として新垣さんをお見かけする機会があったことから、直接連絡を取り「クワチュールBのために書いてほしい」と依頼。
当日のプログラムに「4つの音部による音のドラマ」とあるように、4つのサクソフォーンを主人公に、少しシリアスな雰囲気のドラマが進んで行くような雰囲気で、先の展開を最後まで集中しながら聴くことができました。
後半ではピアノのために書かれた『6つのバガテル』、弦楽四重奏のために書かれた『弦楽四重奏曲ト短調作品10』と、サクソフォーン以外の楽器のために書かれた作品で構成。
どのようにピアノや弦楽器の要素を表現するのか試行錯誤したそうで、『6つのバガテル』では5人の奏者で演奏するものを4人にアレンジされており、技術力と表現力、アンサンブル力など4人が持つ様々なスキルを存分に発揮。
すべての演奏終了後は、アンコールを求める観客の拍手が響き続けました。
それに応えるように『G線上のアリア』を演奏して終了。
その後に開かれたCD販売とサイン会では、幅広い世代の大勢の方が参加し長蛇の列を作っていました。
「ホールで聴く音色はやはり素晴らしかったです」と話す公民館コンサートでファンになった女性をはじめ、「4人の調和が見事でした」と話す吹奏楽部の高校生など、たくさんの人に刺激や、心を揺さぶる体験を与えたコンサートとなったのではないでしょうか。