サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館) おかげさまでサントミューゼは10周年

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【レポート】鈴木ユキオ コンテンポラリーダンスワークショップ

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会場
サントミューゼ

鈴木ユキオ ダンスワークショップ

2017年5月13日(土)15:00~17:00
この日、大スタジオには中学生から50代まで実に幅広い層が集まりました。

年齢、ダンス経験の有無などさまざまな参加者に「ダンスについてさわりから少しずつやっていきましょう」と鈴木ユキオさん。
まずは鈴木さんを囲むように参加者たちが大きな円を作ってストレッチを始めていきます。

軽くジャンプをした後は、左右の足に体重を移動させたり、ひざや手を伸ばしたりしていきます。

 

 

胸骨を開いて上半身を回すストレッチの時には何度も「背骨の骨と骨の間を広げるように」と鈴木さん。

それぞれが自分の身体に集中して上半身を時計回りに動かしていく姿は、それだけですでにダンスのよう。

片足をあげておろす、という一見単純に感じる動きにも、「中心軸を身体の後ろにあることを意識して背中1枚で歩くように」とアドバイスしていきます。

この動作をやめる、再び動くをくり返しながら参加者がスタジオ内を自由に動いていくうちに、まるで雲の中を歩いているようなやわらかさを足の動きから感じていきます。
ひと通りストレッチを終えた後は、声と身体を組み合わせたワークへと続き、反射神経やリズム感をゲーム感覚で鍛えていきました。
その後はペアワークへと進んで、リーダー役は人差し指を上下左右自由に動かし、もう1人はその指と常に一定の距離を保ちながら追いかけるというもの。

この日初めて出会った者同士ということもあり、最初はきっと動きが固いのでは?

と思ったのもつかの間、参加者たちはすんなりと心を通わせたかのように自由に、リズミカルに、そして楽しそうに音楽に合わせてダンスをしていきました。

 

そこでは踊る側の意識だけではなく、踊らせる側がいかに空間を使うのか、スピードや高さ、方向などを見ることの大切さを体験を通して習得していきました。

 

 

後半は、再び円を作るように並んでスタート。

誰か1人の名前を呼びながらその人に向かって歩き、呼ばれた人はその場所を空けてまた他の人の名前を呼びながら移動するというワークへ。

 

狭い円の中を速やかに移動するにはぶつからないようにしたり、どこに誰がいるのかを瞬時に理解するなどステージ上での空間の使い方や動き方に役立つように感じました。
つづいてスタジオを船の甲板に見立てて、誰がどこにいるのか空間を見ながらかたよりが無いように歩いていくというもの。

そこにいくつかの動作を加えていくと、事前に決められた動きでありながらもまるでダンスが自然に発生していくかのような面白さが見て取れました。

 

 

 

最後は再びペアを組み、起きようとする人を戻すというワークをして終了。

 

 

中学生で参加した人の親からは

「娘がバレエを習っていますが、コンテンポラリーダンスに興味があったものの、上田市で体験できる機会になかなか出合えませんでした。そういった中で今回、鈴木さんのチラシでコンテンポラリーという文字を発見して申し込んでみました。あとは参加費が無料ということにおどろきながらも魅力を感じました」

長野市から参加した方は

「以前からサントミューゼのHPをチェックしていて、ダンスのワークショップがあるという情報を見かけて応募しました」など申し込んだ経緯を話してくれました。

 

また、「意識の持ち方次第で、こんなにも見え方に影響するのかと学んだ」「やっていることがシンプルだからこそ難しい」「ものすごく楽しかった」など

ワークショップを終えた参加者からは充実感にあふれた声が寄せられました。
ダンスを通して、身体のすみずみまで意識することの大切さ、そして身体表現の可能性を学んだ2時間でした。

 


 

鈴木ユキオ コンテンポラリーダンス創造公演
出演者ワークショップ

2017年5月14日(日)13:00~15:00

 

7月23日(日)に開催される『鈴木ユキオ コンテンポラリーダンス創造公演 』。

全5回のワークショップを通じて鈴木ユキオさんとともにステージ立ち、作品創作をしたいと集まった17名が大スタジオに集まりました。

 

 

ダンスやバレエをしているという高校生から、遠くは東京から参加者が集まり、ワークショップ前から静かにストレッチを始めています。

前日に開かれたワークショップとは少し場の雰囲気が変化し、緊張感に満ちていました。
午後1時となり、鈴木さん、そしてアシスタントの安次嶺菜緒さんが挨拶し、1人ずつ名前と顔を確認してからワークショップがスタート。

 

前日も参加した人が半数近くいる中、その時のはじまりと同じ内容でストレッチから進めていきました。
ひと通り身体をほぐした後は、見えない扉があるイメージを浮かべて、足でその扉を開けて入るという動きへ。

 

 

1人ひとりの身体的特徴やダンス経験の、イメージの膨らませ方の違いによって、扉が引き戸だったり、ものすごく大きかったり、高い場所にあるなどさまざま。

 

鈴木さんが骨盤に意識を集中させて足をすっと離すようなイメージを伝えると、参加者たちの動きはより美しくなり、膝下がより長く見えるようになっていきました。

「考えずに身を委ねていきましょう」という言葉に合わせるように、スピードや場所を変えてどんどん動きが成長していきました。

 

 

 

10分休憩を挟んでからはさらに難しくなっていき、右肩を前に出したら左腰を下げ、つづいて左肩を後ろにしたら右腰を前にするなど上半身と下半身を前後に曲げていく動きへ。

「トルソーの四角い部分、動体をしぼっていくようなイメージで曲げてみましょう」と鈴木さん。

 

 

身体でこの動きの感覚を掴もうと、参加者は目の前を見ながらも実は身体の奥底の細かな筋肉を見ているかのように集中していきます。

鈴木さんはそれぞれの動きを観察していく中でつま先から足を落とした時に重心が後ろに行ってしまう人が多いことに気が付き、すぐにアドバイス。

足裏のセンターを前にしておくことや、立つ時には軸を1点に絞って上に伸ばすようにと教えていきます。

「細かな部分で自分のダンスにルールを持つと、そこから外れて踊っても、きちんと戻る場所があるから」と鈴木さん。

 

 

つづいて17人が半円形に並んで、1人がその前を踊りながら駆け抜けて、自分の前を通り過ぎた瞬間の動きを真似してみることに。

人間がカメラとなって連写していくような体験です。

何度もくり返す中で、「これを発展させて作品にしていけたら」と鈴木さん。

初日にして公演のイメージの1パーツが明かされました。

 

 

 

最後の休憩を終えて残り30分は、鈴木さんから身体の使い方によってどう見えるのかレクチャーがあったり、ペアワークなどを進めていきました。

最後には半分ずつに分かれて、「耳」「左肩」など言われたパーツを自由に動かして、誰1人としてかぶることがない自分だけの踊りを発見するなど盛りだくさんな内容で終了。

 

 

その後は場所を変えて、上田駅から徒歩10分ほどで行ける

『犀の角』で鈴木さんによるプレビュー公演が開かれ、

ワークショップ参加者をはじめ一般客もつめかける中、

言葉と身体、音と身体が絡み合い、鈴木さんの中から湧き出る何かしらの感情とダンスに対峙しました。

 

 

 

 

ワークショップ初日から濃密な時間を過ごした参加者たち。

残り5日間でどれだけ変化していくのでしょうか。

 

7月23日(日)開催 鈴木ユキオ コンテンポラリーダンス創造公演 『20のカラダの証』、どうぞお楽しみに!

 

2017年7月23日(日) 14:00 開演

20のカラダの証 詳細ページ