【レポート】セレノグラフィカ レジデントカンパニー事業
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セレノグラフィカ 小学校アウトリーチ
6月
29日 浦里小学校/30日 神科小学校
6月最後の2日間は、隅地茉歩さんと阿比留修一さんのダンスカンパニー「セレノグラフィカ」によるアウトリーチ活動が行われました。
29日は青木村にほど近い場所に立つ浦里小学校の3・4年生、30日は上田菅平インターから数分に位置する神科小学校3年生の2組が参加し、各校の体育館で開催しました。
2コマの授業を用いたアウトリーチは、1コマ目はヨガからスタート。
隅地さんが児童たちの前でレクチャーし、阿比留さんが1人ひとりの動きをチェックしながら正しい身体の動きになるようサポートし、身体をゆるませていきます。
「みんなが給食を食べる時にまず最初にすることは、手洗いですよね。ダンスをする時にも、始める前に身体を動かしてストレッチします。ダンスの手洗いですね」と隅地さん。
じっくりダンスの手洗いを終えた後は、ダンスの基本へ進めるための約束事を伝えました。
それは「目の高さをそろえる」「ジグザグに歩く」「人にぶつからない」の3つ。
児童たちと一緒に声に出して約束事を確認してから、ダンスへ。
まずは音楽に合わせて自分の頭やお尻など、身体のさまざまなパーツをタッチしていきます。
次には自分ではなく、そばにいる人の身体をタッチしていきます。
隣り合った者同士、男女関係なく、ふだん触れない友だちの身体に触れるのはちょっと恥ずかしそう。
みんなそっと、思いやりを持って触れている様子が伺えます。
音楽に合わせながら、スピードを変えながら、動くスペースの広さを変えながらダンスする児童たちは、のびのびとしてとても楽しそう。
たくさん動いた後は横になってクールダウン。ここで1コマ目が終了。
2コマ目になると、各小学校で内容に少し変化をもたせて進めました。
浦里小学校では、ペアを組んで1人が触れた場所からそっと抜けて、さらに相手に触り返すダンスを練習しました。
最後には2班に分かれて、「触って抜けて」というショータームを披露。
かんたんな動きのくり返しが音楽に合わせていくうちに、自然と身体がリズムを感じ、ダンスへと昇華。
終了後、セレノグラフィカの2人は「皆さんはとても素質があります」と伝えていました。
一方、神科小学校では後半の出だしは「動物あてクイズ」からスタート。
5つの質問を児童から出してもらいながら、何かを探っていきました。
その後は「まるまる1曲をみんなでおどりましょう」と、隅地さんがステージから教えていきました。
「右、右、左、左、とんで、とんで、う・し・ろ!」と、すぐに覚えられるダンスの動きに児童たちは瞬時に理解し、踊っていきました。踊り終えた後はさすがに「疲れたー!」という声も出るなか、「でも楽しかった!」と満足した様子。
最後は浦里小学校同様「触って抜けて」を披露しました。
ひと通りの授業を終えた後、阿比留さんと隅地さんかはみんなを自分のそばに引き寄せました。
「前向きな気持ちで、こう踊ったらおもしろいと感じてくれた。知らないダンスを踊れたという勇気を覚えておいてほしい」と阿比留さん。
「みんなそれぞれに、違う宝物を持っています。自分と、他人と、それぞれの宝物を大切に。身体を大切にしましょう」と小さな声で伝えた隅地さんは、「シュワシュワシュワー」と手のひらを細かく動かして、「さあ、宝物を身体に入れましょう」と胸元へ持っていきました。
児童たちは同じように動かし、それぞれが感じたであろう宝物を体に詰め込む動作をしました。
こうして、ダンスだけではなく、身体を大切にすること、他人の身体に触れることで思いやる気持ちを感じることなどを感じたアウトリーチでした。
7月
1日 傍陽(そえひ)小学校
真田地域の緑豊かな環境にある傍陽小学校。
この日は上田市立美術館の職員も一緒にアウトリーチ活動へ出かけました。
1コマ目は浦里小学校や神科小学校と同様に授業を進めていきましたが、担任の先生2人がとても朗らかで、先生が活発に動いている姿を見て、同じように楽しもうとする子どもがちらほら。
先生が良きお手本となっている様子が感じられました。
2コマ目では美術館から3人のスタッフが加わり、事前に準備した段ボールのピースを児童たちが自由に選んでお絵描きをしました。
1コマ目でのびのびと、自由に踊った身体から描き出される絵は、線の動き、色の重なり合いなど、とてもダイナミックに感じられるものばかり。
絵筆を動かす手も、ダンスの動きの余韻が残っているのかリズミカルに進んでいました。
なかには音楽に合わせてポンっポンっと絵筆を置くように描くなど、とても楽しそう。
途中、みんなの描いている絵を見学したり、色を交換し合ったり、絵を描くという動作からさまざまなコミュニケーションが生まれているのが印象的でした。
絵を描いた後は、みんなで作品を持ちながらダンスがスタートし、絵と自分自身が一体となったように動いていました。
最後は絵をステージ前に並べてみました。
すると「全部が同じじゃないから良いです」「みんなの特徴が描かれていると思いました」「宇宙みたい!」など、さまざまな感想が児童たちから発せられました。
後日描いた絵は、サントミューゼのプロムナードて展示しました。
突如色の洪水のようにさまざまな色で生み出された作品は、とてもエネルギーに満ちていました。