【レポート】高橋久美子×白井ゆみ枝 ―終わらない話―
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白井 ゆみ枝 上田全天氣候展 関連企画
高橋久美子×白井ゆみ枝 ―終わらない話―
3月19日(日)14:00~
上田市立美術館で開催中の「白井ゆみ枝 上田全天氣候展」。ロックバンド・チャットモンチーの元ドラマーで、現在は作家・作詞家として活躍中の高橋久美子さんをゲストに迎えて、白井ゆみ枝さんとのトークイベントを行いました。
白井さんと高橋さんの出会いは2005年、チャットモンチーのデビュー曲「ハナノユメ」のプロモーションビデオの美術制作を、白井さんが依頼されたことがきっかけです。高橋さんはその当時から白井さんの作品に興味を抱くとともに、自分の感性と通じるものを感じたそうです。
「きれいなだけじゃない、どこか毒というか、棘のようなものがあったんやな。」と高橋さん。
3年後の2008年、チャットモンチーは人気バンドとなり、超多忙となった高橋さんでしたが、ふと白井さんのことを思い出して、突然連絡をとります。
東京から上田に移った白井さんのアトリエを訪ねて早々、高橋さんの口から飛び出した言葉が、「白井さん、何か一緒に、展示をやりませんか?」
そうして二人が始めたのが、高橋さんの詩と、白井さんの絵を空間に展示する「ヒトノユメ」展でした。「ハナノユメ」で出会った二人が展覧会につけた名前が「ヒトノユメ」。花から人へ、沢山の人たちと大きな夢を咲かせていこうという想いがこめられているそうです。
2010年の東京展に始まり、2011年には、チャットモンチーと高橋さんの故郷で開催した徳島展・愛媛展、そして2013年白井さんの故郷・上田市で開催された長野展へと話が及びました。
制作チームの結成から、会場探しに苦労したこと、開催各地の地元の方々や多くのボランティアスタッフとの出会いなど、数々のエピソードが語られました。これまでの「ヒトノユメ」を見た方や手伝った方も多くご来場の様子で、会場のお客様は、二人の話にうなずいたり、笑ったり。
港近くの倉庫や、歴史ある洋館、製糸工場の跡地などで「ヒトノユメ」展を開催してきた二人。その土地ならではの空気や、それぞれの会場が放つ力を生かすべく「土地とのコラボレーションを目指して」やってきたそう。
また制作チームをはじめ多くの人たちと一緒に、大きな空間を演出して展示をつくりあげていくことが、「今回の展覧会にもつながっています」と白井さん。高橋さんとの出会い、そして二人での活動が大きな転機となり、作品にも変化をもたらしたと振り返りました。
そんな「ヒトノユメin長野」から約3年、改めて自分の作品と向き合い、新作を制作してきた白井さん。これまでの活動や経験がつながって「上田全天氣候展」に辿りついたと言います。
高橋さんは、今回展示されている白井さんの学生時代の絵についても触れ、「トゲトゲしていて、それもかっこいいけれど、最近の作品はもっと広がる感じがするなー」とコメント。
最後に会場から、今回の展示作品について質問が寄せられる中で、「静かに自分の絵と向き合っていると、その日の気候や天候に影響を受けながら制作をしているということを強く感じるようになって、上田に暮らして描いた作品に、自然と上田の『全天氣候』が現れてきたんです。」と白井さん。
会場の出入り口に設置してある、日傘に様々な形の鏡面パーツが縫い付けられた《あなたの光》という作品についても触れ、「傘を見上げてもらうと、その方自身が映り込むような作品になっています。展覧会に来た時と帰る時とで、見に来られた方にとって何か少しでも変化が生まれ、それを感じてもらえたら嬉しいです。」と語りました。
「白井ゆみ枝 上田全天氣候展」 は4月16日(日)までの開催です。