サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館) おかげさまでサントミューゼは10周年

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【レポート】生誕140年 吉田博展 関連企画 登山&山岳スケッチワークショップ

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会場
サントミューゼ

 

「自然と一体になってこそ本当の絵が描ける」と考えていた吉田博。それならば、実際に山に登って描いてみようというのが、今回行った「登山&山岳スケッチワークショップ」。県内外から10人の皆さんが参加しました。群馬県からは91歳の健脚の方も参加。何としてでも登山したいという熱意に驚きました。当日は、前2日間の雨で空気が澄んだため、新緑のすばらしいスケッチ日和になりました。講師の千葉潔さんや、美術館スタッフ、保健師も含めて総勢18人で標高2,066mの烏帽子岳に向かいます。美術館から1時間ほどで、標高1,733mの地蔵峠にある湯の丸自然学習センターに到着。登山届を提出して、簡単にストレッチ。いよいよ登山開始です。

 

 

最初のうちは林道沿いに歩き、キャンプ場までは広い道を歩きました。途中から一本道の登山道となり、シラカバやツツジを眺めながらクマザサの生い茂る林の中を進みます。湯の丸山の中腹を等高線に沿って歩くこと50分。烏帽子岳と湯の丸山をつなぐ鞍部に到着。富士山の姿も遠くにはっきり見えました。

 

 

ここまで来ると目的地の烏帽子岳の姿は目の前に見上げるように近づいてきます。ここで、講師の千葉さんからスケッチをする上でのこつをアドバイスしていただきました。「部分にとらわれず全体を見て描くこと・・・」など、千葉さんがこの場所から描いた烏帽子岳の水彩画を例に、実際の風景と見比べながら、描き方のポイントを解説しました。

 

 

ここからいよいよ烏帽子岳の斜面を稜線まで一気にアプローチする急な登山道を登りました。30分後、稜線上に到着。そこからは上田盆地や遠く北アルプスの峰々、草津白根山など360度のパノラマが広がり、槍ヶ岳の黒々とした穂先までも見ることができます。

 

 

 

 

 

ここからは稜線沿いに小烏帽子岳の頂上まで岩がゴロゴロとむき出しの登山道を登ります。標高は2,000mほどですが、吉田博の登った北アルプスの気分を味わうには十分な環境です。ここで昼食の予定でしたが、参加した皆さんは「早速スケッチをしたい」とのことで、それぞれ小烏帽子岳から烏帽子岳までの500mほどの間で思い思いの場所を決めて描き始めました。この日は、平地でも気温が低かったため、頂上一帯は風がやむと暖かいのですが、吹き付ける風はとても肌寒く、じっとしていると体が冷えてしまいます。こうして肌で山の気候を体感すると、「こんな頂上まで登ってわざわざ絵を描こうという発想がいかに大変なんだろう」とつい思ってしまいます。頂上まで2時間ほどの行程でもかなり体力を使いますから、吉田博が行った登山と頂上での写生が並大抵のものではないことは身をもって理解できます。

 

 

 

 

講師の千葉さんは10人の参加者の一人ひとりの場所に行き、それぞれにアドバイスを行いながら烏帽子岳から小烏帽子岳の間を行き来しました。天気に恵まれたため、他にも登山者は多く、烏帽子岳頂上は昼過ぎには40人ほどの人でいっぱいになりました。

 

 

午後2時過ぎから下山開始。朝来た道を戻ります。帰り道の方が楽かと思いきや、下りる際に足に体重がかかるので、疲れがどっと出てきます。下山の時の方が楽に見えて、実は注意が必要です。

 

 

 

1時間半後、地蔵峠の湯の丸自然学習センターに到着。研修室で、今日頂上で描いた各自のスケッチを見ながら、千葉さんが講評を行いました。

5時過ぎにはサントミューゼへ到着、一日がかりの登山&山岳スケッチワークショップは無事終了です。2,000mを超える山の頂上まで登り、さらに絵まで描くという体験は参加者の大半が初めてだったとのこと。皆さんそれぞれに貴重な経験を持ち帰っていただけたようでした。