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【レポート】群馬交響楽団 上田定期演奏会-2022春- 関連プログラム 「群響メンバーによる室内楽演奏会」

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群馬交響楽団 上田定期演奏会-2022春- 関連プログラム 「群響メンバーによる室内楽演奏会」

2022年3月9日(水) 19:00~20:00 西部公民館大ホール

 

3月20日の群馬交響楽団による定期演奏会に先立ち、西部公民館でメンバーによる弦楽四重奏のアウトリーチ演奏会が行われました。

 

19時前に音合わせする弦の音が聞こえてきます。いよいよ演奏会が始まり、1曲目はバレエ『くるみ割り人形』より「花のワルツ」。今回は定期演奏会がオール・チャイコフスキー・プログラムということもあり、チャイコフスキー作品から幕を開けました。

 

 

 

 

オーケストラとはまた違った魅力にあふれる演奏が終わると、上田市出身のヴィオラ奏者・太田玲奈さんがマイクを取ります。「時節柄、こんなに大勢の方が来てくださるとは思っていなかったので、本当に嬉しいです。今夜は定期演奏会に先駆けて、ロシアの作曲家作品を取り上げます」。そして、メンバー紹介へ。今夜はヴィオラの太田さんとヴァイオリンの原実和子さん、秋葉美果さん、チェロのファニー・プザルグさんによるカルテットです。

 

次に、リムスキー=コルサコフ『熊蜂の飛行』とチャイコフスキー『四季』より4月「松雪草」を続けて演奏します。おなじみの『熊蜂の飛行』は、他の交響曲やヴァイオリン協奏曲の一節が違和感なく入るユニークなアレンジでした。『四季』は12曲からなるピアノ曲で、1月から12月までを表現するタイトルがついています。4月の松雪草は、これから本格的な春を迎えるこの時期にふさわしく、切なく美しい曲想から長調に変わるラストは希望を感じさせてくれます。

 

ここからのトークは、プザルグさんにバトンタッチされます。「『熊蜂の飛行』のこの編曲は、群馬交響楽団の元首席奏者でロシア人チェリスト、レオニード・グルチンさん(故人)の手によるものです。面白い作品ですよね」と明かしてくれました。

 

 

 

 

4曲目は「ロシアといえばバレエ音楽」ということで、ショスタコーヴィチの『黄金時代』から「ポルカ」です。ショスタコーヴィチは交響曲の大家。「重たい作品が多いのですが、こんなふうにユーモアや皮肉が込められた楽しい曲もあります」(プザルグさん)。前衛性を感じさせる不協和音的な響きと緩急が心地良い、コンパクトな小品です。

 

最後は、チャイコフスキーの『弦楽四重奏曲 第1番』。「絶対にみなさんどこかで聞いたことがあると思います」という第2楽章は、チャイコフスキーがウクライナで聴いた民謡を題材にしているのだとか。話題は自然とウクライナのことへ。「まさかウクライナがあんなことになってしまうなんて……。第2楽章はとても美しくて、平和を感じさせる音楽です。今は、心穏やかに静かに音楽を聴ける時間が戻ることを願いながら演奏したいと思います」と太田さんが話すと、プザルグさんが「素晴らしい音楽です。ぜひ聴いてください」と引き取ります。

 

 

 

 

改めて音合わせをし、会場は期待と心地良い緊張感に包まれます。華々しい第1楽章、たしかに聴き覚えのある第2楽章、古典的な雰囲気ながら活気に満ちた第3楽章、そしてロシアの民俗舞曲風のテーマから情熱的なラストへ向かう第4楽章と、美しい旋律が次々に顔を出す華麗な展開は聴く人の心を大いに揺さぶり、今日のメインにふさわしい充実した演奏でした。

 

 

 

 

アンコールは、同じくチャイコフスキーの子ども向けピアノ曲集から、弦楽四重奏向けに編曲した「ポルカ」です。

 

大きな拍手が沸き起こります。「サントミューゼで待っています!」というプザルグさんの言葉に、お客様は笑顔で応答して会場を後にしていました。

 

最前列で聴いていたという男性は、「やっぱり本物はいいですね」としみじみ嬉しそうに感想を教えてくれました。

 

 

【プログラム】

チャイコフスキー:バレエ組曲『くるみ割り人形』より「花のワルツ」

リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行

チャイコフスキー:ピアノ曲集『四季』より4月「松雪草」

ショスタコーヴィチ:バレエ組曲『黄金時代』より「ポルカ」

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調

 

【アンコール】

チャイコフスキー:ピアノ曲集『子供のアルバム』より「ポルカ Op.39-14 変ロ長調」