サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館) おかげさまでサントミューゼは10周年

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【レポート】群馬交響楽団 上田定期演奏会 -2023春-  関連プログラム 「群響メンバーによる室内楽演奏会」

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サントミューゼ

【レポート】群馬交響楽団 上田定期演奏会-2023春- 関連プログラム 「群響メンバーによる室内楽演奏会」

3月20日(月) 19:00~20:00 サントミューゼ 小ホール

 


3月26日(日)の群馬交響楽団による定期演奏会に先立ち、弦楽四重奏の演奏会が行われました。今回は初めて、サントミューゼ小ホールが会場となりました。

 

開場前には長い列ができ、お客様の期待が伺えます。1曲目はモーツァルトの『弦楽四重奏曲 第14番 春』から第1楽章です。浮き立つような足どりと霞がかった空、黄色やピンクの花々、忙しく飛び交う虫や鳥……そんな光景が瞬時に目に浮かびます。上田の長い冬の終わりを寿ぐような演奏で幕を開けます。

 

 

演奏が終わり、マイクを取ったのは上田市出身のヴィオラ奏者・太田玲奈さんです。「月曜日の夜に、大勢の方に来ていただいてありがとうございます」と挨拶して、メンバー紹介に進みます。今回は、群響に入って数年の新しいメンバーが中心です。第1ヴァイオリンは杉山和駿さん、第2ヴァイオリンは塩加井ななみさん、そしてチェロは松本恒瑛さんです。

 

 

次は3曲続けてガーシュウィンです。ジャズのスタンダードナンバーでもある哀感に満ちた『Summertime』、陽気で足を踏み鳴らしたくなる『I got rhythm』、そして小粋な『パリのアメリカ人』と、ジャズとクラシックの両面で活躍したガーシュウィンの代表作が、4本の弦楽器で表情豊かに奏でられました。

 

 

5曲目は、今回の公演で予定されている『ラプソディ・イン・ブルー』から「いいとこどり」した編曲版です。『ラプソディ・イン・ブルー』は、ジャズとクラシックを大胆に融合させたシンフォニック・ジャズの代表曲。聞かせどころでヴィオラとチェロが旋律をたっぷりと歌い、最後は第1ヴァイオリンが高らかに鳴り響きます。公演では、世界的なジャズピアニスト・小曽根真さんと共演。「本番は小曽根さんの世界をたっぷり楽しんでください」と太田さんが言葉を添えます。

 

 

続いては、武満徹が編曲したシャンソンの名曲「枯葉」です。武満は美しい映画音楽や合唱作品もつくっていて、この曲も響きの美しさが特徴です。冬の乾いた空気の中、風に吹かれた枯れ葉が揺れ落ちる様が伝わってきます。太田さんが「公演では、まったく違う武満を味わってもらいたいです」と言うように、公演では『弦楽のためのレクイエム』が予定されています。

 

今回の定期公演は、国内外で活躍する大植英次さんの指揮です。「群響は、指揮者によっていろんな音色が引き出される楽団だと思います。大植さんはいつもと違うアイディアで振ってくれるので、とても楽しみです」と太田さんが締めくくり、独創的と言われるベートーヴェンの『弦楽四重奏曲 第4番』へ。公演の演目『交響曲 第3番 英雄』と作曲時期が近いカルテットです。

 

第1楽章はスリリングな導入から、ベートーヴェンらしい激しさと重厚さが堪能できる展開が続きます。第2楽章はスケルツォ(軽妙で速めのテンポ)でありながら速度はアンダンテ(歩くくらいの速さ)で、穏やかな時間が流れるよう。第3楽章は古典的な雰囲気がするメヌエット。第4楽章は緩急が心地よい、情熱的なロンド。ぴったり息の合った演奏でフィナーレを迎えました。

 

 

非常に充実した演奏に、お客様から惜しみない拍手が送られます。

 

アンコールは、テディ・ボーアの『マックモーツァルトのアイネ・クライネ・ブリヒト・ムーンリヒト・ニヒト・ムジーク』。名前から伺えるように『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』や『月光』をベースにしつつ、『蛍の光』などのスコットランドの旋律が次々に入り混じるという、聴き手を楽しく裏切ってくれる遊び心満点の曲でした。

 

「フルメンバーとまた違ったよさがありますね。アレンジも特徴がありました。武満さんの『枯葉』もすごくよかったです」というのは、オーケストラが好きという男性のお客様。以前クラリネットをやっていた女性は、「土日は仕事でなかなか来られないので、平日夜の演奏会は嬉しいですね。カルテットの『ラプソディ・イン・ブルー』はとても新鮮でした」と笑顔で答えてくれました。

 

【プログラム】

モーツァルト/弦楽四重奏曲 第14番 ト長調K.387 「春」より 第1楽章

ガーシュウィン/Summertime

ガーシュウィン/I got rhythm

ガーシュウィン/パリのアメリカ人

ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー

コスマ(編曲:武満徹)/枯葉

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第4番Op.18-4

 

【アンコール】

テディ・ボーア/マックモーツァルトのアイネ・クライネ・ブリヒト・ムーンリヒト・ニヒト・ムジーク