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【レポート】鈴木ユキオ コンテンポラリーダンス集中ワークショップ

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サントミューゼ

鈴木ユキオ コンテンポラリーダンス集中ワークショップ

2019年1月26日(土)・27日(日) at 大スタジオ

 

2月16日(土)・17日(日)に開催される振付家・ダンサーの鈴木ユキオさんによるコンテンポラリーダンス公演『Roomer』。

それに先がけて中学生以上を対象にした2日間の集中ワークショップを開催しました。

 

1日目

「今回は身体や感覚を共有し、お互いの新しい領域に足を踏み入れるワークショップです。2月の公演で音楽を担当するDillさんも特別に参加し、ワークショップ中に生演奏で音楽を入れてくれます」

とユキオさん。

 

当日は男性1名、女性11名の計12名が参加し、遠方では塩尻市や松本市からも集まりました。まずは円になって自己紹介。

「普段は合唱をしていて声のトレーニングはしているけれど、体の表現力を磨いてみたいと思った」「自分でもコンテンポラリーダンスをしているので」「ダンスは未経験」など参加理由もダンス経験の有無もさまざま。

直接ユキオさんから指導してもらえるという高揚感と少しの緊張が入り混じる様子が伺えました。

 

さっそく「まずは体を動かしましょう」とウォーミングアップをスタート。左右にゆっくりと重心を移動させたり、体がバルーンになったようにイメージしながら全身を広げたり、すぼめたりしていく中でも随時「肩甲骨を開くように」「胸骨を前後に引っ張られるようなイメージで」とアドバイス。

骨盤の左右と肩の両端計4点をねじったり、起き上がったり、そらしたりしながら点と点を体で結んでいく運動では、体と体がどのような課程を通って動きにつながっているのかを体感しながら自分の可動域を探っていきました。

 

 

休憩を挟んでからは、1人が先導役となって指を自由に動かし、もう1人はその指先の動きの通りに体を動かしていくペアワークを行いました。

先導役は動きを導きながらもどんな体の動きが生まれるのかを楽しみ、導かれる方はひたすら集中して動かされる時間を楽しんでいる様子が伺えました。

 

 

お昼休憩を終えてからは、目の前にさまざまな大きさや形の額縁があるとイメージしながら手足やひじ、ひざ、尻、肩などあらゆる体のパーツを使って額縁の四隅を触れる動きを行いました。

背中を意識して動かす、足の動きをもっとダイナミックにしてみるなど改善点を伝えていくうちに、動かしやすい可動域からさらに広がっていきました。

参加者の中に汗をかき始めた人が出てきたので、今度はクールダウンを兼ねながら寝転がって手足を思い切り広げていきます。

「体の動きはパーツだけでは生まれません。すべてはつながっていると意識してください」

とユキオさん。その後も足の使い方や背中を意識して動いたり、体の縦軸を作る時には丹田に力を入れてみるなどのトレーニングを重ねていきました。

最後にはいくつか行ってきたペアワークを4人で行い、3つのグループに分かれて発表。

 

 

「踊りには始点と終点があるはず」というユキオさんの言葉を受けて、そのイメージが相手に伝わるくらい、しっかりと外側に表出しようと真剣に踊りにふける姿が印象的でした。

 

2日目

雪が降り積もる中、2日目も朝10時からワークショップを開催。
ほとんどの参加者が「全身が筋肉痛」だと言って、念入りにウォーミングアップを行いました。前日のふり返りも兼ねてペアワークを進める中で、「体は踊りに没頭しつつも、脳みそは人間であり続ける」感覚を抱いてほしいとユキオさん。
参加者に自由に動いてもらいながらも、ところどころで体の動かし方、意識の持ち方をさらっと伝えていきます。

 

 

 

2日目は新たな挑戦をしてみようと、1人は声かけ役となり、背中を向けた残りの参加者の誰か1人を目がけて声をかけます。
例えば「おはよう!」「ねえねえ!」といった感じ。背中を向けた人たちはその声が伸びる方向を全身で感じながら、誰に声をかけているのかを当ててみることに。
「視覚が使えると簡単ですが、でも本来体にはそのような感覚を感じ取る力がある。空間を感じ取る力は、舞台にも生きていく」とユキオさん。

 

 

 

つづいて円になった参加者は、時計回りに変顔をして隣りの人につなぎ、受けた人はその変顔からさらなる顔の動きを付けてパスしていく体験をしました。

 

2日目は講師のユキオさん、音響のDillさん、参加者揃ってランチタイム。

 

 

 

これまでの創作活動の話しなどをしながら、お互いを知る時間を楽しんでいました。その中で「言葉って大事ですか?」という質問が出ました。

それに対してユキオさんは「いろんな角度から1つの対象物をさまざまな種類の言葉で表してみる。思っていることはクリアにはなっていなく、口にすることではっきりとしていく。思っていることと言葉にすることはイコールではない。言葉にする事で客観的に捉えることができるので、自分を確認する作業にもなると思う。踊りも同じで、踊りのイメージを思っているだけでは観客には届かない。はっきりと外に出すまでイメージをして表現することが大切」

だと伝えていました。

 

集中ワークショップというだけあって、さまざまな動きを絶え間なく続けていく中で、後半では体を痛めないために腰をどのように使うのかを教えていきました。

 

今度は言葉の朗読に合わせて、ユキオさんがその言葉のイメージを体で表現していきました。

 

 

言葉を体で表す、そのくり返しによって気がつくとユキオさんにしか無いダンスが生まれていく様子が見えていきます。

最後は参加者たちも同じ朗読に合わせて踊りをしました。同じ言葉のはずなのに、誰1人として同じ体の動きはありません。

そこに動く体には、1人の人格がたしかに刻まれているようでした。

 

 

 

2日間のワークショップを終えて、「自由に踊るために体にとことん気を遣うこと、筋力や軸が大切なのだと気がついた」「ワークショップを通じて自分のクセに気がついた」などの感想が出ました。

踊るための体の仕組みや考え方は、確実に参加者の糧となったようです。

 

2019年2月16日(土)/17日(日)開催の鈴木ユキオコンテンポラリーダンス公演『Roomer』は、上田市出身で世界的に活躍した商業写真家ハリー・K・シゲタとその作品世界がテーマ。

果たしてどんな時間が生まれるのか、この機会をお見逃しなく!

 

公演の詳細はコチラ

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