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【レポート】上田地域定住自立圏連携事業 森岡有裕子フルートコンサート in 青木村

みる・きく
会場
サントミューゼ

上田地域定住自立圏連携事業 森岡有裕子フルートコンサート in 青木村
2018年10月11日(木)19:00開演  青木村文化会館 講堂

 

 

 

 

 

パリ留学を経て、現在は国内で精力的に活動するフルート奏者、森岡有裕子さんのコンサート。
上田市と周辺地域の6市町村が人口定住促進に向けて連携し協力する「上田地域定住自立圏」の事業として、青木村文化会館で行われました。

 

ピアニストの永田美穂さんとお二人で登場した森岡さん。最初に演奏したのは、ビゼー作曲の「アルルの女より メヌエット」です。
優雅で美しいフルートの音色が、表情豊かに音の世界を感じさせてくれました。

 

 

演奏後、森岡さんは「今日長野に着いたのですが、東京よりもずっと空気がきれいですね」と印象を話してくれました。

 

ここで「今日はもう一つ楽器を持ってきました」と取り出したのは、先ほどの金色のフルートよりもどっしりと太く短い木製の笛です。
通常のフルートには穴に蓋をするような「キー」と呼ばれる丸い部品がたくさん付いていますが、こちらは穴が7つ空いているだけ。リコーダーを思わせるシンプルな形です。
「見た目は違いますが、この楽器もフルートなんです。昔はこんなシンプルな形の楽器が使われていました。今日は、当時の音色でバッハの曲を聴いていただきたいと思います」

 

 

そう話して演奏したのは「管弦楽組曲第2番より ポロネーズ バディネリ」。

先ほどのフルートよりも少し音が小さく乾いた印象で、素朴な味わいがありました。
現代のフルートはピアノの中央の「ド」から3オクターブの音程が出せますが、この楽器の音域は2オクターブと少ないのだそう。

時代とともに改良が進み、現代のフルートに発展したのだと話してくれました。

 

続いては客席参加型の「動物クイズ」です。ステージに並べられたのは蝶、小犬、ウサギ、ハチ、そして白鳥の5枚の写真です。
「今から演奏する曲がどの動物の曲か当ててみてください」

 

 

まずは1曲目。軽やかで楽しいワルツが聴こえてきました。どこかで聴いたことのある愛らしいメロディーです。

演奏後、正解だと思う動物に挙手を求めると、「小犬」と答える人が多数。

「正解は、ショパンの『小犬のワルツ』でした!」と発表すると、歓声と拍手が起こりました。

続いては優雅なメロディー。頭の中でイメージを広げながら耳を傾けます。
答えは、サン・サーンス作曲の「白鳥」。もともとチェロとピアノ2台のために作られた曲なのだそう。

 

続いては目まぐるしいテンポで進むスリリングな曲。

途中でブルブルとうなるような音が挟まれ、フルートの豊かな音色に驚かされます。
正解はコルサコフ作曲「熊蜂の飛行」。

うなるような音は、激しく動く蜂の羽音をイメージしているのだそう。
「クラシックに限らず、音楽を聴くときは作曲者が何をイメージしたのか、演奏者は何をイメージしながら演奏しているのか、思いをめぐらせながら聴くと楽しめると思います」と森岡さん。

 

ヴィヴァルディの「フルート協奏曲 ニ長調 RV.428 第1楽章 ごしきひわ」は、同名の鳥をイメージして書かれた曲です。

 

通常フルートをメインにバックでオーケストラが演奏するコンチェルトですが、今日はオーケストラ部分をピアノで演奏。
途中で鳥のさえずりを思わせる明るく軽やかなフレーズも登場し、澄み渡る青空のような音色で魅了しました。

 

 

最後はモーツァルトの「ロンド」を。「モーツァルトの曲はリラックス効果が高いんですよ」と話した通り優しい音色に癒される一方で、凛とした力強さも感じます。

後半は大きく盛り上がり、演奏後には大きな拍手が起こりました。

 

アンコールに演奏したのはグリーグ作曲「妖精の踊り」。民族音楽のような速いメロディーと激しさを増していく音色で、素晴らしいフィナーレとなりました。

訪れたお客様からは、「自分も学生時代にフルートを演奏していたけど、何年もしっかり学ばれたプロの演奏はやはり素晴らしい」「フルートの演奏を生で聴くのは久しぶりで、良い時間を過ごせた」との声が聞かれました。

 

 

 

【プログラム】
ビゼー:アルルの女より メヌエット
J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番より ポロネーズ バディネリ
ヴィヴァルディ:フルート協奏曲 ニ長調 RV.428 第1楽章 ごしきひわ
モーツァルト:ロンド

〈アンコール〉
グリーグ:妖精の踊り