サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館) おかげさまでサントミューゼは10周年

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【レポート】田中拓也&中野翔太 アーティスト・イン・レジデンス~本原小学校クラスコンサート~

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会場
サントミューゼ

2020.11.25(水)

 

上田市真田地区にある本原小学校。そのはじまりは明治時代までさかのぼる歴史ある小学校です。11月25日には5年生を対象に、サクソフォニストの田中拓也さんとピアニストの中野翔太さんがアウトリーチ活動の一環としてクラスコンサートを開催しました。

 

 

登場曲として演奏したのはガーシュウィンの「3つの前奏曲 第1番」です。室内のすみずみまで響き渡るサクソフォンとピアノの音色に圧倒されながらも、児童たちは集中して聴き始めました。

1曲目を終えた2人は「短い時間だけど楽しみましょう!」と呼びかけて、楽器の紹介へ。まずは田中さんがサクソフォンとはどのような楽器かを解説。サクソフォンという楽器は、ベルギー出身の楽器製作家アドルフ・サックスが考案したことから名前がつきました。児童たちがよく知っているリコーダーに似ていると言いながら実際に楽器を分解しつつ、リードやネック、ボディの説明を行いました。

 

つづいて中野さんがピアノについて解説。ピアノの原型の正式名称は「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(強弱の音を出せるチェンバロ)」と言い、それが略されて「ピアノ」と呼ばれるようになりました。鍵盤は88鍵あり、すべてのオーケストラよりも広い音域を出せるのが特徴です。大きなコンサートホールで一番後ろの客席まで音を出すときに重要な役割を果たすのが、蓋のように見える屋根部分の響板です。コンサート会場の客席に向けて屋根を開くと、開いた方向に向かって音が飛び出す仕組みになっています。試しにサクソフォンを響板に向かって吹いてみると、音が増幅されて教室全体に響き渡りました。

 

 

つづいては「音楽を自由に聴いて想像する」ことを目的に2曲異なるイメージの音楽を演奏。ピアノの横に配した5枚の絵や写真とリンクするものはどれか、なぜそう感じたのかを聞く時間を設けました。児童たちの回答は、「夜のイメージで男女2人がダンスしているよう」「サックスの音色が風のようで、自然の中にいるみたい」「静かなイメージがして夜明けを感じた」「何もない宇宙」など、どれもユニーク。2人は「演奏で音を出しているのに『静けさ』を感じるって面白いね」とたくさん出た感想と発想力におどろいていました。

 

 

最後に演奏した2曲は「シングバード」「フライバード」で、ともに鳥をテーマにしたもの。これも「どんな鳥がどこで飛んでいるんだろう、いろいろイメージして聴いてください」と伝え、児童たちは最後まで真剣に、想像力をフルに発揮して鑑賞。

 

コンサートの最後に児童たちからは「こんなに近くで演奏する姿を観ることができて楽しかった」「ピアノの指の動かし方の速さ、サックスの音色のダイナミックさにおどろいた」など最後までたくさんの感想にあふれていたのが印象的でした。