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【レポート】土田英生 演劇ワークショップ

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サントミューゼ

土田英生 演劇ワークショップ

2018年5月26日(土) 14:00~ at サントミューゼ大スタジオ

 

 

 

京都を拠点に活動する劇団、「MONO」の代表であり、テレビドラマ「崖っぷちホテル!」(NTV)の脚本も手掛ける、劇作家・土田英生さんによる演劇のワークショップが開催されました。

 

この日、大スタジオに集まったのは劇団員や学校で演劇を学んでいる学生、高校の演劇部、そして演劇未経験者と、経験だけでなく年齢もさまざまな19人です。

 

 

土田さんがまず問いかけたのは「上手な役者ってどういう人?」という質問。

声を出す、動くといったワークではなく、違う切り口で演劇を考える講座のスタートです。

 

 

そして、指名した参加者に「ぼーっと立っているだけの演技をしてください」と土田さん。

 

誰が挑戦してもリラックスしているようには見えません。

緊張を隠そうとすると動きがわざとらしくなってしまいます。それを土田さんは「自意識の押しつけ」といいます。

 

 

では、リラックスして見えないのはなぜか?

足りないのは呼吸でした。

「リラックスしているはずなのに呼吸が抜けていないのです」

関西人らしい軽妙なトークで参加者の緊張をときながら解説していきます。

 

 

そこで端から順に驚いて「息を吸う」、終了したら今度は順に安堵して「息を吐く」というワークを実践してみます。

息を吐けばリラックスした人、息を吸うと緊張した人に見えます。

 

さらにもう一段階進めていきます。

息を抜いた状態で大きく驚き、ちょっと安心し、また大きく驚き、すごく安心する。

この流れを強弱付けた呼吸だけで挑戦します。

 

「呼吸にセリフをのせれば演技が完成します。セリフが長くなっても、いろいろな動きが付いたとしてもやっていることは一緒なんです。それを忘れてセリフを上手にしゃべろうとしてしまうと、お芝居じゃなくなっていってしまいます」とアドバイスする土田さん。

 

これらのことを踏まえた上で、呼吸を意識的に変えて簡単なセリフを付けたお芝居を差し替えをするワークに挑戦します。

 

ペットボトルを長年探し続けていたものと仮定し、遠くからそれを見つけた時の軽い驚き、拾い上げじっと見てこれは本物だと確信した時に大きな驚き、そしてようやく本物を見つけたという喜びで安堵するという、簡単なストーリーに合わせてセリフと動きを付けていきます。

 

 

順に挑戦しますが、最初から肩に力が入っていたり、ペットボトルを手にして驚くところで息を抜いてしまったり、なかなか呼吸とセリフが合いません。感情をセリフで説明すればその意味は伝わりますが、呼吸が合っていないとわざとらしくなってしまいます。

 

 

 

ひとりひとり実践する中で土田さんから、「人はセリフを読むとき句読点を意識してきれいに読もうとしてしまう。でも普通にしゃべるときに句読点を考えてはしゃべらないでしょ。セリフが長くなるほど人はセリフをしゃべってしまいます。しゃべらない。反応すること」とアドバイス。

 

 

緊張しながら挑戦する参加者に軽快なツッコミを入れながら、なるほどと納得する説明をさらに加えていきます。緊張も少しずつとけ、呼吸が楽に感じるようになった頃、ワークショップ終了の時間がやってきました。

 

演劇の楽しさの一端に触れた参加者に向け、

「呼吸というのがお芝居の基本になっているということを今日は覚えて帰っていただければと思います」という言葉でワークショップを締めくくりました。

 

 

普段何気なくしている呼吸で、安堵や驚きが簡単に表現できるだけでなく、「息を吐くことで緊張がとけるというのは、普段の生活にも生かせそう」という参加者からの声。日常にも生かせることを学べた2時間でした。