概要
「自分が直接感じたものが尊い
そこからすべての仕事が
生まれてくるものでなければならない」
この言葉は「版画」という用語を日本に普及させたことで知られる版画家・洋画家、そして美術教育運動家であった山本鼎(1882-1946)の残した有名な一節です。
愛知県生まれの彼は、東京美術学校卒業後フランス留学し、帰途のロシアで出合った農民工芸に感銘を受け、上田で「農民美術」と名付けた手工芸品の生産を農家の人々に指導しました。運動は全国に広がり、各地で様々な「農民美術」が生まれました。
「どんな地方のどんな境遇の人間にも創造の力は宿っている」と信じた鼎は、「農民美術」を通して、農民生活の向上と美的創造力の両者を追い求めたのです。鼎はそのために画家や彫刻家の仲間たちとともに、自ら木鉢やクッションなど農民美術のデザインを考案し、受講生であった農民たちが自立できるようデザイン教育にも力を注ぎました。
山本鼎の運動は、ロシア農民工芸を直接のモデルとしていますが、その源流には19世紀イギリスに興ったウイリアム・モリスのアーツ&クラフツなどヨーロッパの手工芸運動や思想が根付いています。本展示は、山本鼎が私財を投げ打ち彼自身の後半生を賭けて取り組んだ活動の軌跡を、デザイン画と農民美術作品、そして各種の資料を通してご紹介します。
会 場 サントミューゼ 上田市立美術館 2階 常設展示室
期 間 2018年9月8日(土)~11月11日(日)
休館日 火曜日
時 間 9:00~17:00(最終入場は16:30まで)
お問い合わせ 上田市立美術館 0268-27-2300
観覧料
個人 | 団体(20名以上) | |
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一般 | 300円 | 250円 |
高校・大学生 | 200円 | 150円 |
小・中学生 | 100円 | 80円 |
※障がい者及びその介助者は無料。
※同時開催の「ウィリアム・モリス 英国の風景とともにめぐるデザインの軌跡」の観覧券でもご覧いただけます。