甲田洋二 KODA Yoji
甲田洋二は人間の内に潜む狂気や、現代社会の混沌を冷静な目で俯瞰する。影響を受けた作家にフランシス・ベーコン、ホルスト・ヤンセン、パウル・ヴンダーリッヒ等の名前が挙がり、かつては制作テーマの中に『密室願望的な状況』というキーワードがあったというが、徐々にテーマが広がり、作品にも円熟味を増している。彼の絵画をかたちづくったのは、信州の農村での生活に始まり、アメリカンポップアートの影響、ドイツ留学での経験が大きい。
1939 長野県小県郡中塩田村(現上田市)生まれ
1962 武蔵野美術学校西洋画科卒業
2006 武蔵野美術大学学長
2010 武蔵野美術大学名誉教授
<おもな作品発表歴>
個展:青梅市立美術館(東京都)、上田市創造館(上田市)、信州新町美術館(長野市)、シロタ画廊(東京都)、日辰画廊(東京都)、紀伊国屋画廊(東京都)シェル美術賞展(東京都)、ほか
丸山雅秋 MARUYAMA Masaaki
丸山雅秋の彫刻作品は、一見幾何学的形態に見えるが、平面は無く、緊張を湛えた有機的に僅かな膨らみを持つ面で構成されている。ヨーロッパでの生活が長い丸山であるが、東洋と西洋の文化の受容を対立させるのではなく止揚した先で作品制作を行っている。存在の本質を能楽など日本古来の芸術観に見出し、かたちを探求し極限まで抽象化された作品は、我々に存在することの意味を問いかける。本展では、作品が空間そして観者と新たな関係を築き、大きなボリュームをもつ展示空間にどのように存在し共生し場を創造するかみていただきたい。
1952 長野県南安曇郡豊科町(現安曇野市)生まれ
1975 東京造形大学彫刻科卒業 佐藤忠良に師事
1978 東京造形大学彫刻科研究室修了
1982 イタリア国立ミラノ・ブレラ美術アカデミー彫刻科卒業
<おもな発表歴>
個展:Erba市立美術館(イタリア)、Fellbach市立ギャラリー(ドイツ)、Galerie 60(オーストリア)、ギャラリーサンセリテ(愛知県)、ギャラリー川船(東京都)、Gallery Maek Hyang(韓国)、朝日美術館(朝日村)、Galerie WangHohmann(ドイツ)、ほか
宮坂了作 MIYASAKA Ryosaku
1972年カリフォルニア芸術大学(Cal Arts)に留学、「ハプニング」の提唱者アラン・カプローに師事。カプローより自らの原点を問われ、農家に生まれた自分にとってそれは「農業」にあると思い至る。同年、焼畑農業の手法で大自然の循環を示した《A・ファイア・フェスティバル》を実施。74年に帰国した後は、地図から展開した絵画を多く手がけている。描かれた大地は高度に応じて色を塗りわける段彩図の法則で彩色され、その本来の姿は鑑賞者のイマジネーションのなかにのみ存在する。近年は文字の形に植物を育て食べる《植物文字》なども展開している。
1950 長野県諏訪市生まれ(本名 正次)
1971 高松次郎塾の第1期生
1974 カリフォルニア芸術大学卒業(BFA、美術学士)
〈主な発表歴〉
個展:サトウ画廊(東京都)、村松画廊(東京都)、河西画廊(諏訪市)、シンワアートミュージアム(東京都)、アノニム・ギャラリー(茅野市)、他
グループ展:Qギャラリー(アメリカ)、ボルケーノ・アート・センター(アメリカ)、茅野市美術館、3331 Arts Chiyoda(東京都)、ほか
〈主な受賞歴〉
2006 サロン・ドートンヌ展(フランス)入選
山内孝一 YAMAUCHI Kouichi
呼吸のように続ける
山内には過酷な闘病体験がある。病を得た事でそれまでの価値観が崩れ、美術実践とは何かを改めて問い始める。日常生活そのものがアートであることに気づき、自然農法に取り組みながら自然物からインスピレーションを受けた作品を多数制作。平面・立体・ワークショップとジャンルの枠を超えて活動している。
体験型のインスタレーション「錐体」シリーズ、「空に思考する」シリーズ、ワークショップでは「フィールドワーク」シリーズがある。
身体が感じ取る不思議な作用を体感すること、「意識の焦点」をテーマに制作を続けている。
1959 群馬県桐生市生まれ
1983 和光大学人文学部芸術学科卒業
1996 長野県下伊那郡阿智村に移住 現在高森町在住
<おもな作品発表歴>
個展:駒井画廊(東京都)、アートハウス(飯田市)、Galleyウーム(広島県)、現代詩資料館(群馬県)、風の谷絵本館(飯島町)、萩山神社(高森町)、有鄰館(群馬県)、ほか